「バイト、したい。みんなやってるよ。」
「みんなって・・だって校則で禁止されてるでしょう?」
「そんなの隠れてやってるって。部活もしてないし、暇だからバイトしたい。」
「パパも駄目って言ってるよ。大学になったらやればいいじゃない。やることないなら勉強しなさい。こないだの塾の模試、偏差値また落ちたじゃないの。」
学校もまともに行けず、遅刻や早退を繰り返しているのに何を言っているのだ?と言い掛けてやめた。
「社会勉強したいんだって。店の裏側とか、実際に自分の目で見てみたいってのもある。」
私を説得したいのか、もっともらしいことを言う子だが、本音の部分もあるのかもしれない。
学校に居場所がないからバイトをしたくなったのかもしれない。
子にとってのサードプレイス。それを手に入れたいのかも。
中間テストの結果も返って来たけれど、こちらから聞かないと何事も無かったかの様にスルー。
クラス順位もあまりぱっとせず、これでは大学進学も怪しくなってきた。
夫に相談しようとも思ったが、自分の資格勉強でそれどころではない夫に伝えるのも気が引けた。
友達関係や学校での悩みは、勉強の意欲を削ぐのだと思う。
逆に、それから逃避するかのように没頭する場合もあるだろうけれど。
「ちょっと出掛けて来る。夕飯は食べるから。」
朝起きて、パジャマのままごろごろソファーでスマホを触っていたので、今日は一日家にいるのかと思ったが、突然予定が入ったらしい。
「ちょっと、どこ行くの?誰と?」
慌てて玄関まで追い掛けたが、
「あとでラインするから!」
行ってしまった。
夫も資格取得スクールへ。
私だけポツンと取り残され、パート探し。
今週受けた面接結果はまだ来てないが、恐らく落とされただろう。
子がバイトをしたい気持ちに反し、私は一向に決まらずやる気が萎えている。