休みの日なのに、花山さんから連絡が来た。
とある書類が紛失しており、覚えはないか?といったライン。
同期ということでライン交換したけれど、彼女からの連絡は主に休みの交代が主だったばかりに、今回もそうなのかな?と思い、気楽にトーク画面を開けたのだが、そうではなかった。
ーこの日、芝生さん出勤ですよね?米田さんは書類を回したはずって言ってるんです。
回って来た気もするけれど、私は午前勤務でその後の引継ぎは黒川さんなので、もし私に回っていたとしても黒川さんが最終的な処理はするはず。
やんわりとそれを伝えたが、
ー黒ちゃんは、受け取ってないって言ってる。だから書類は芝生さんで止まってるんじゃないかって。
もう、頭から私が犯人だといった感じなのだ。
だが、私も自分の記憶が絶対という自信がないので、黒川さんのようにはっきりと言い切れない。なので歯切れの悪い返事をしていたら、瞬く間に私が犯人になってしまった。
ー覚えていないのなら、もういいです。今度から気を付けてね!
え?なんで私が紛失したことになっているの?
さすがにイラっとして、
ー本当に米田さんは私にその書類を渡したって言ってますか?米田さんが持ってるってことはないですか?
そのメッセージを打った瞬間、さすがにこれは喧嘩を売ってるかなと思い、削除した。
だが、決定的なミスを犯した。ラインは送信を取り消ししなければならない。削除だと、こっちのトーク画面からメッセージは消えるけれど、相手先のトーク画面では残ったまま。
まずいと思い、慌ててメッセージを送る。
ーごめんなさい、やっぱり私が持っているかもしれないです。米田さんには今のこと伝えないで。
なんて恰好悪い。
情けないが、こうするしかなかった。
既読になり、少ししてから「了解!」のスタンプが戻ってほっとしたけれど、なんだか花山さんに借りを作ってしまったような損したような気分に陥った。