実家へ行き、両親の様子を見に行って来た。
弟から電話があり、夏以降ちょいちょい体調を崩して元気がないと聞いたからだ。
正直、今は子の受験で気忙しいし、落ち着いたら行こうかと思っていたのだけれど。
実家住まいだからと丸投げしている感じに取られても、何かあった時に後々文句を言われそうなので顔を出した。
弟は、相変わらず仕事を辞めてプラプラしているようで、短期の仕事をしたりしなかったりといった状況。
この日は出掛けていると母から聞いたが、恐らくパチスロだろう。聞かなかったけれど。
「私達が調子が悪くなると、あの子、仕事辞めるのよ。優しいから、それが理由なんて言わないけどね。母親だから分かるの。ここずっと体調が悪いから、買い物に行ってくれたり料理を作ってくれたりもするから本当に助かってるの。」
実際、助かっているのだろう。
それは分かるし、親も喜んでいるしと思う一方で、もやもやしてしまう。
親の年金で家賃も払わず、食費はどうなっているのか分からないけれど、パチンコで勝てば10万円もするジュエリーを母に買ってやったり、ちょっと良い家電を買ったりと実家に貢献しているようだけれど。
私が心配しているのは日常と、親がいなくなった後のことなのだ。
「そうそう、あちらは元気?」
あちらとは、義実家のことだ。義妹が病んで休職していることを伝えると、途端に目が輝いて見えた。
「あら~、大変ね!じゃあ今は、あちらのお義父さんはお義母さんの面倒と娘の面倒で倒れてしまうんじゃないの?」
「いや、お義母さんが結構よくなってね。リハビリのお陰か分からないけど、友達と流石にテニスは無理だけど、ランチなんかはしょっちゅう行ってるよ。」
勝手にライバル視している義母が楽しんでいる様子に、カチンと来る母なのだ。
「娘が大変な時に、呑気な人ね!気が知れない!私だったら娘の病気を治すことに専念するけどね!」
お嬢様育ちの義母が憎いのか、楽しそうにしているのが気に入らず、そうして矛先がこちらに向かうのだ。
「あんたも大変なとこに嫁に行ったわね。将来は、あっちの両親とお姉さまの面倒も見ないとならないんじゃない?あー大変!笑っちゃうわね!」
こういう時、やっぱり母が娘に抱く感情に複雑さをおぼえるのだ。いや、私は娘一人だから我が子にそんな感情なんて湧いたことがないし、ただただ幸せになって欲しい。
だが、もしも息子がもう一人いたら?比較する?出来が良い息子だったら自慢で仕方がなく、そうでなくても可愛くて仕方がなく、娘のことは邪けんにしてしまうのだろうか。
そういえば、私の身体を心配してくれたことなんてあっただろうか?
せめて、孫のことでも。
「花子も、勉強頑張ってるよ。」
自分のことを心配してなんて、もういい大人なのに言えないからせめてもと孫の話題を出した。
「受験?ふーん。私は大学とかもう興味ないのよ。周りが期待したところでなるようにしかならないからね。正直ね、孫より子どもが大事だし、自分が大事!あちらはブランド志向だから分からないけどね。花子も大変なんじゃないの?それなりのところ行かないと、あんたの旦那も立場的にきついんじゃない?」
孫より子どもが大事というのは、弟のことだ。私は対象外。周りが期待したところでの下りはきっと、遥か昔、私に多少なりとも期待はしていて、だが短大程度しか出れなかった出来の悪い娘に対しての失望から出た言葉だと思う。そして、むしゃくしゃすれば、娘が傷付きそうな言葉を平気で投げ掛ける。
結局、嫌な思いをして実家を後にする。
もうしばらく会いたくない。
そして、一人っ子で良かったのかもと思う。
比較の対象も無ければ、ただ可愛い、それだけ。2人も3人も子どもがいれば、やっぱり相性だってあると思うのだ。
一人っ子で良かった
