弟の年収がいくらなのか?姉として知りたいところだけれど、その手の話になると母はすぐに話題を逸らす。
実家のリビングのテレビに、非正規雇用ーすなわち、アンダークラスが890万人に上るといった特集が流れ、平均年収216万円の男性が炊き出しに群がる様子が映し出されていた。
親がいなくなった後、弟は自活していかなくてはならない。今は両親の年金のお陰でなんとかギリギリの生活を保っているが、家賃や生活費はいずれ自分の稼ぎから出していくことは分かっているのか?
いつになってもその日暮らしでのほほんとしている弟にやきもきしてしまう。
そして、最近はないけれど、私のところに金の無心に来るようになったらと思うとぞっとする。
無い袖は振れないが、闇金の保証人になってくれと懇願されたりとか。ギャンブル好きなのも頭が痛い。
「まあ、市営に入ればなんとかなるでしょ。」
母は楽天的だ。父は相変わらずこの家で存在感を消しているし、寝たり起きたりを繰り返し、会話もおぼつかない。だから父の考えを聞くことは出来ない。
「年金とか、やってるよね?」
「どうだろ。やってるんじゃない?」
え?まさか未納期間があるってこと?てっきりそこは母が代わりにしっかり管理して支払っているかと思っていたのに・・
これは弟と会った時に要確認事項だ。まさかとは思いたいけれど、最低10年は納付してるよね?バイトや非正規雇用を繰り返し、だがすべてそれをオールしたとして国民年金納付期間の方が長いはず。自分でちゃんと納付していたのだろうか?出来なければ、免除の申請とか諸々の手続きは取っていたのだろうか?
アンダークラスの家族がいることで、自分もそのクラスに片足を突っ込んでいる気がする。
今は、夫と暮らして扶養されているけれど。いかに自分が恵まれた環境に置かれているのかを実感する。
私の年金だって、夫が支払ってくれている。なんだかんだ文句やモラハラっぽいことをされていても、衣食住と離婚しなければ老後の保障だってされているのだ。
独身だったら私だって、弟と同じくアンダークラスの人間でいた可能性は限りなく高いのだ。
それでも、夫と最後まで添い遂げる未来が見えないから、どうにかこの10年で自分を立て直し、自立に向けて努力していくしかない。
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