シニアの交友関係

入院ベッド 家族
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 家族で面会ーと思っていたのだけれど、どうせ行くのならと義母も連れて行くことになった。義母も行くのならーと、三女も。ファミリーカーに5人。後部座席に3人・・
助手席に私で後ろに義母と三女と子で乗って欲しかったのに、足が悪いからと義母が助手席に。
そして、後部座席に私達。

「ママ、真ん中ね。私、車酔いするから。」

「え、そんなの聞いたことないけど。」

「早く乗って!」

 運転席から苛ついた夫の声。先に子が乗り込んでしまったので、さすがに義姉を真ん中に乗せる訳にもいかず、渋々真ん中席へ。狭い・・

車中、主に義母と夫と三女で会話をし、子はイヤフォンをしてスマホを見てる。三女が子に話し掛けても、面倒臭そうにしている。後に、また私が子の態度について嫌味を言われるのだ。

 病院に到着し、久しぶりに義父の顔を見た。痩せたけれど表情は落ち着いており、またお客が一気に来たことで元気が出たのか、休憩スペースに行こうと喜々とする。腕は点滴に繋がれていたけれど、もう歩いてトイレにも行けるのだそうだ。4人部屋なので、カーテンを閉めて寝ている人もいるから、起こしたら悪いしちょっと出ようということだった。
義父の隣のベッドの男性と目が合い、会釈された。義母や三女は既に挨拶をしているのだろう、顔見知りのようになっており、ちょっとした会話をしたりしていた。

 休憩スペースの椅子に腰を掛けるなり、

「個室が良かったけど、空いてなかったから仕方がないわね。」

義母が、誰にともなく呟く。義父は、だが案外それについての不満はなさそうだった。むしろ、同室の隣の男性と気分転換にお喋りなんかして楽しいと言う。

「可哀想にな、奥さんに先立たれてお子さんもいないらしくてね。独り身なんだと。だーれも見舞いに来ないんだよ。俺のことを羨ましがってね。毎日のように娘やら婿やら孫やら来るだろう?しかも今日は5人も!あの部屋でこんなに大勢の人間が来るのは俺くらいなもんだよ。」

 家族だけでなく、地域の将棋倶楽部の友達や、近所の友達も見舞いに来たらしい。義父の交友関係についてそれ程知らなかったけれど、義母以上かもしれない。

「携帯に、いろんな奴から電話があるんだよ。まったく既読にならないからどうかしたのか?倒れたのか?って。まだまだ頑張らないとな。」

 学生時代の友達や、現役の時に仕事をしていて今も尚付き合いが続いている関係者からも電話があったらしい。義母が倒れる前は、月に一度はゴルフも行っていたのでその仲間からも連絡があったという。そういえば、年賀状の枚数もすごかったことを思い出した。

「山下さんにさ、悪いけど体拭く汗取りシートとか、あとお茶や常温でも大丈夫なゼリーとかいくつか買って来てよ。こないだお裾分けしたら大喜びでね。」

 義父の気遣いー、いくら快方に向かっているとはいえ、自分の体が大変なのに他人ー、しかもまだ知り合ったばかりのたまたま隣合わせのベッドになった入院患者に対してあれこれ世話を焼きたがるその性格は、人によってはお節介なのかもしれないが、そういう遠慮なく思い立ったら行動をしてきた義父だからこその交友関係の広さなのかもしれない。

「はいはい、分かったから。そろそろ午後の診察の時間じゃない?」

 限りある面会時間はあっという間だ。
名残惜しそうな義父は、改めてそこにいる全員の顔を見回し、

「花子は学校、慣れたか?」

 思い出したように、孫に尋ねた。

「うん、まぁ。」

「勉強はどうだ?ついていけてるか?どんな研究をしてるんだ?」

「まだ入ったばっかだから、よくわかんない。」

 
 急に話し掛けられ、子は戸惑っていた。義父にとっては、子の学費を出したと思っているものだから、その薄い反応に少しばかり物足りなさを感じているようだ。


「ほら、もう時間だよ。」


 三女が急かす。
慌てて義父が立ち上がり、瞬間、ふらりと体がよろけて夫が支える。
まだ完全ではないのだ。

「おっと、まだふらつくな。病院食は不味くて力も出ないよ。早く家に戻らないとな。みんな、今日は来てくれてありがとう。」

 あと5年は生きるだろうーいや10年?
ヒヤッとしたが、義父は頑丈そのものだ。

 

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