事務パート、やっぱりもう辞めてしまいたい。
その事件が起きたのは、昨日のこと。
経費節減の為か、不要になった紙は裏紙として社内で使うのだけれど、個人情報の類いの紙はシュレッダーにかけなくてはならない。
不要な紙置き場があり、コピー用紙の手差しトレイに紙が無くなったタイミングで裏紙の補充をするのだが、この仕事は雑用担当の私になりつつある。
この日も、コピー機がピーピー鳴り響いたので見てみると、トレイが空っぽ。
なのでいつも通り、紙置き場から紙の束を取り出し、補充した。
「これ!駄目だよ!」
課長の怒鳴り声にビクっとする。
表裏間違えて手差しに入れてしまったのかも!と慌てる。
「これはシュレッダーだよ!裏紙にしたら駄目!」
私に向かって大声で怒鳴る。
米田さんを始め、フロアの視線が一気に私に集まり、顔が真っ赤になる。
「申し訳ありません!」
「ちょっと来て!」
課長に直接、仕事のことで指示されたり叱られたりすることなど無かったので、余程のことだったのだろう。
だが、その紙を裏紙として不要箱に入れたのは私じゃない。
いつも言われっぱなしのストレスからか、生理前で苛々していたからか、私らしくない反発をしてしまった。
「これはね、ほら良く見て!個人情報だよ。これは社内であっても使っていいものじゃないでしょう?」
「あの・・それは私が使った紙ではないです・・あちらの不要箱の中に入っていたので、それをコピー機に補充しただけで・・」
「は!?そういうことじゃなくって。その手差しに補充する時にあなたは確認しないの?ボケっと何も考えず補充してるだけ?普通、チェックするでしょう?パラパラっとでも!」
「でも、私には、どの紙が個人情報なのかよく分からなくて・・」
「あなた、もう一年経つよね?そんなことも分からないようじゃ困るよ!」
課長の禿げてテカテカした額が気持ち悪い。
なんだ、このクソオヤジ。これが花山さんだったら、こんな風に皆の前で叱責するのか?
「はい、申し訳ありません。以後、気を付けます・・」
一瞬、怒りが湧いたと思ったけれど、席に戻り隣の花山さんが、
「課長、男の更年期じゃない?スルースルー。」
励ましてくれているのかそんな声を掛けてくれて、迂闊にも泣きそうになった。
数日に一度は、辞めたくなる。
いや、もう今月でサヨナラだ。
来週の面接結果で、全てが決まる。
裏紙privacy
