クリームソーダー

クリームソーダー
スポンサーリンク

 私は採用が決まったのに反し、子の機嫌が悪い。
相変わらず、クラスでうまくいってないようだ。
放課後も、寄り道が少なくなって、真っ直ぐ帰宅することが多いので16時頃には自宅にいる。
中学の頃の方が、部活もしていたので帰りが遅かったくらい。
悩んでいるのは分かるのだけれど、親に相談するでもない年頃の娘の力になるとしたら、そっと寄り添い好きな物を出すことくらい。


 ここ数日の暑さに、帰宅後は真っ赤な顔で疲れ切っている。
塾がある日は、軽食にも気を遣う。
年頃の娘なので、カロリーを考慮しつつも食べ応えのあるものを作らなくてはならない。
冷麺だとか、豆腐を肉のように調理した料理や。
仕事が始まれば、そんな風にきめ細かにあれこれ世話焼きが出来る自信が無いので、今のうち。

あまりにも暑い日、スーパーで目に付いたメロンソーダを買う。
そして、バニラアイス。
子のおやつに、甘い物代わりにクリームソーダーを出すと、とても喜んでくれた。
こんな時、ふと幼い頃と同じような顔をする子。
寝ている時もそうだけれど、いつまで経ってもやっぱり子は子なのだ。


「この、氷に付いたシャリシャリが好き。」


 分かる。
ソーダ―とアイスクリームと氷の混じった境目の部分。
ここが一番美味しい。この部分だけをグラスいっぱい食べたいくらい。
ひんやりした氷に膜が出来る。甘いバニラとスッキリした炭酸の融合。
スプーンでそれを少しすくっては、口の中に放り込む。


「美味しい。」



 もうすぐテスト。
それが過ぎれば、17歳の夏休み。
来月は、バタバタとした日々に追われそうだ。








スポンサーリンク
シェアする
隣の芝生
タイトルとURLをコピーしました