餌付け

猫
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 困ったことになった。
それに気付いたのは、子の部屋のゴミ箱を片付けた時。
学校にいる子にすぐラインしたが、返信無し。


ーゴミ箱に、猫の餌の空袋があったけど、どうしたの?


 CMでもよく見掛ける、猫用おやつの空袋がいくつか入っていたのだ。
まさか子がおやつにそれを食べる訳じゃないし、となると一体ー
子は、猫アレルギーを持っているし、勘弁して欲しい。最近、皮ふに色々できものが出来ていたのもそのせいなのか?


学校が終わり、家に帰って来た子に尋ねると、悪びれることなくこう言った。


「あれね、うちのバルコニーに猫ちゃんが迷い込んで来て、網戸をガリガリしてたからミルクあげたら来るようになって。」


「え?いつから?」


「うーん、よく覚えてないけど、先月?5月はじめくらいかな。ミャーミャー泣いてて、なんだかお腹すいてそうだったからかつおぶしとミルクあげてみた。」


「ちょっと、そんな勝手に・・」


「私、ペット飼いたかったし。めっちゃ可愛いんだけどお隣さんの飼い猫?よく分からないけどしょっちゅううちのバルコニーに来るよ。」


 最悪だ、それはもう餌付けではないか。
しかも、高級おやつまで与えていたとは。


「でも、あなた猫アレルギーでしょう?パパにも怒られるからもう止めて。」


「えー。なんで?ちょっと痒くなるくらいだし大丈夫だって。触った後はちゃんと手洗いしてるもん。」


 あれから針金さんとはまともに口を利いていない。私が彼女を避けているし、ばったり出くわしても目も合わないし挨拶すら返ってこない。
すっかりあの件で心を閉ざされてしまった。
それはそれでともう割り切っていたところにこれだ。
まさか我が子が餌付けをしていたなんて。そして、それがまた別のトラブルに発展したらと思うと気が気ではない。

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隣の芝生
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