親に連絡する頻度

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 始めたばかりのパートが頭の中8割を占めているこの頃。
一向に、同期との差は縮まるどころか広がるばかり。
簡単な入力作業にすら時間が掛かるし、ちょっと複雑な処理になると質問のタイミングすらつかめず固まって無駄に時間を費やしてしまう。
パートの昼休み、出来損ないの私は同期と一緒に昼を過ごす気にならず、外に出た。
イートイン併設のパン屋に駆け込む。
ここのパンは高いし、普段では手が出ないけれど、私一人分ならワンコインちょっとで済む。
ドリンクは無料の水が貰えるところも良心的。
しょっぱい系のハードパンに、甘い系のデニッシュで決まり。
トレイにそれらを乗せ、一番端っこの席を陣取る。
ほっと一息、スマホを手にしたところでメッセージに気付く。
最近さぼっているPTAラインから。
担当の仕事だけきっちり参加すればいいかなと、もう真面目になることは辞めた。
どうせ、あそこでママ友が出来る感じでもないし、時間の無駄。
結局、子の学校関連では誰一人友達は出来なかったけれど、もうどうでもいい。

ふと、ラインメッセージがもう一通。
N恵からだ。
すぐに返事を送ると、向こうも暇なのかすぐに既読の後、またメッセージ。
いつもならこの流れでライン電話に切り替わるのだけれど、メッセージのままなのは向こうも家ではなく外なのかも。

ー夏はどうするの?

ー沖縄行くんだ。でも、それ以外は特にこれといった予定もなくて。ねえ、夏休み会わない?

ー仕事だしね、ちょっと無理かな。

ー一日くらいいいじゃん。叔母さんのことも、そうやって放置してるんでしょ。

ー放置って・・忙しいんだからしょうがないよ。

ー花子も高校だし、忙しいっていったってパートだけでしょう?そんなこといったら、こっちだって色々忙しいよ。仕事は今してないけど、子ども関連のゴタゴタとかね、中学はちょっと別のところ受験し直そうかなって。


 そんな彼女の近況を聞きながら、母のことを考えていた。
N恵と伯母との関係は良好で、ほぼ毎日のように連絡を取り合っているらしい。
子ども達もまだ小さいので、預けたり、また手伝いに自宅まで来てくれたり。
互いの家もスープの冷めない距離さながら、頻繁に作り置きおかずを持って来てくれたりもするらしい。
専業主婦になったN恵だが、叔母に預けてはランチ会やネイルや美容院などに行ったりとリフレッシュもしているらしい。
勿論、いつも世話になっているお礼にと、旅行や外食には頻繁に誘うと言う。彼女の夫は伯母に可愛がられているので、一緒にご飯のハードルも低い。
母が羨んでいた、「理想の義理息子」なのだ。私の夫のように不愛想ではない人当たりの良いイケメン息子。

 そもそも、私達親子との関係とはまったく違う仲なのに、なぜこうも罪悪感が湧いてしまうのか。
気にするなーと思っていても、そろそろ連絡しなければという義務感に苛まれる。
それでも、電話を掛けたら掛けたで、嬉しそうな声よりも面倒臭そうな声での第一声を思うと気が乗らない。
待ってましたと思われるのが悔しいのか、

ーあぁ、何?あんた?ちょっと忙しいのよ。何?

 このご機嫌斜めの定型文に誠実に対応することで母の声は和らぐ。
そういうルーティン化したやり取りにも疲れてしまう。
それに向こうの調子が乗ってくれば、通話時間はゆうに一時間以上は掛かる。
今の私の疲労感に、その労力は耐えられない。

 今の時代、スマホでいつでもどこでも電話が掛けられる。
それに、着信履歴も残る。
昔の黒電話のように、居留守を使っても掛けたふりをしてもばれないアナログさが懐かしい。







 

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