罪悪感

待合室 家族
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 バタバタの中でも、実母への電話は定期的に行っている。
だが、言われてしまった。


「別に無理して電話してくれなくていいわよ。あんたも忙しいんでしょ?花子から聞いたわよ、仕事掛け持ってるんだって?カズヒロさんはいったい何してるの?大丈夫なの?あんた達。」


 逆に心配されてしまった。
そして、先週はどの程度か分からないけれど体調がとても悪かったらしく、だが弟が病院へ連れて行ってくれたから事なきを得たと言う。
相変わらず仕事をしているのかいないのかよく分からないけれど、経済面では親に頼りっぱなしで私のところにも金の無心に来る弟だけれど、いざとなれば親が頼るのはやはり家を出た娘よりも独身の息子なのだ。


「あの子、優しいから。仕事だって本当はしたいのかもしれないけどさ。正社員になんてなったら私達の面倒を見れなくなるからってのも一つにあるのかもよ。」


 どこまでも息子のことになるとポジティブ変換される母だけれど、正直、娘としては罪悪感に苛まれるのだ。
足腰が弱り、目も弱り、体調も崩しやすくーそんな親の面倒を実際見れるのはなんだかんだで弟の方なのだ。

「来月の検査もね、一緒に付いて来てくれるのよ。助かるわ。」


 どうしても責められている気になってしまう。
強盗事件が増えており、そういう意味でも用心棒のように一緒に息子がいてくれるだけでも心強いのは本音だろう。
何もしなくてもいい、ただ居てくれるだけで。
年老いた親にとって、遠くの娘よりも近くの息子。分かってはいるけれど、役立たずと言われているような気になってしまう。

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