お局攻略法

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 お局攻略法なんてマニュアルを作成するのなら、きっと彼女に白羽の矢が立つだろう。
黒川さんだ。
最初、それは花山さんだと思っていたが、今は違う。
彼女が美容休暇中、米田さんと木佐貫さんが揃って悪口を言っているのが聞こえてしまった。

「なんかさ、勘違いしてるよね。」

「パートなんだから、言われたことだけ素直にやってくれたらいいのに。」

 見えない線引きは、こうして悪意のある言葉によって色濃くなる。
花山さんの調子良さだったり裏表を彼女達は見抜いていたといったところだろうか。


反して、黒川さんは社員である彼女達から好かれている。
それは、彼女不在時の話で分かったこと。
本人がいないところで悪口ではなく誉め言葉が飛び交うその状況は、既にお局という我儘で自己中で威圧的な生き物の取り扱い方を心得ているということ。


「だいたい、頼まれもしないことをやってくれてその尻ぬぐいさせられたんじゃね。」


 花山さん的に、気を利かせてやったこと。それが必要なかったうえにそのせいで仕事が増えてしまったという文句。
また、最近では自分の仕事を社員並みと言い、米田さんらのことを小馬鹿にしているのが透けて見えるのかもしれない。要するに、ハナにつくのだ。
その点、黒川さんは控えめで、痒いところに手が届く存在だという。
決して出しゃばることなく、だが頼まれたことは時間内にきっちりミスなく処理する。
質問も的確で、いや、結構私からしたら質問をしているのだが、それがかえって好印象らしい。

「え!なるほど!すごいです、そうやればいいんですね。思い浮かばなかった。」

 社員を立てる。だが分かりやすく媚びを売ってる風ではない。
頼るところはしっかり頼り、身を弁えてパートとしての仕事をする。社員からしたらコスパの良いパートを目指す。
同じ質問でも、私がすると彼女達を苛々させる。この違いは何だろうか。

今現在、私はまったくお局を攻略出来ていない。
ゲームでいえば、まだステージ1だ。武器もなければ丸腰状態。
黒川さんのように、効率良く攻略したいが、そもそもお局が私よりもだいぶ年下ということを思い出す。まず可愛くなれないことにハンデありなのだ。




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