まるで同志

ひな人形 家族
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 毎年毎年、娘一人っ子だからかこの行事は特別で大切にしてきたもの。
なのに今年は気忙しさからか、準備も土壇場。
ひな人形を出すタイミングも遅れ、大安だとか気にする時間もなく一週間前にようやく飾り、それも実母から「ひな人形は出したのか?」というラインが入ってようやく。まさかまだ出していないとは言えず、もう飾ってあると嘘までついた。

 人形を飾っても、夫も子も気にする風でもない。
リビングに堂々と鎮座するそれは、いつもは置いていない位置にあるせいか、テレビが若干見づらくなり、むしろ邪魔な感じで首を伸ばしながらソファーのあちこち移動し丁度良い位置を探している2人の様子がなんだか可笑しい。
ようは、母である私の自己満足。
それでも最低限、女の子を持つ親としてやらなくてはならない義務のような。
すっかり忘れていたわーとスルー出来たら楽だなと思う反面、中途半端に前日に思い出したりでもしたらその気持ちのやり場に困ってしまう。


 今日は事務パートの日なので、昼過ぎには帰宅出来る。
帰りにちらし寿司の材料を買って、そうだ、桜餅も。


 いつの日か、娘が結婚し女の子を授かったらー
どんなひな人形を贈るのだろう。
そして、今この家にある人形はどうなるのだろう。
込められた願いは満願となり役目を終えて、だがひっそりと私達の元で静かに子を見守るのだろう。
そう思うと、人形であってもまるで同志のような、彼らに対して暖かな感情が湧く。
スルーなんて、出来っこないのだ。


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家族
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隣の芝生
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