OLの財布

財布 わたし
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 パート先で、米田さんらとランチした時にふと目に入った財布。
それぞれ別会計でレジ前に並んで私が最後なのでじっと見入ってしまった。
米田さんは、ヴィトンの財布。木佐貫さんはロエベの財布、そして花山さんはシャネルの財布だった。
財布一つで人が分かる訳でもないけれど、持ち物はその人それぞれのキャラクターに合う気がしている。
花山さんは、パートといっても暇潰しと小遣い稼ぎに来ているのだと前に2人きりでランチをした時に言っていた。身なりもそうだけれど、お金にはまったく困っていない風なのだ。
米田さんらは正社員だし、自分で稼いだお金でブランド物を身に付けているのだから分相応だろう。
ボーナスだって出ているのだし。

ふと、自分のぼろい壊れかけた家計用財布を隠すように持った。
見られたくなかった。
そもそもこの財布を新調したいと去年から思っているのだけれど、なかなか良いものに巡り合えない。
働き出して2か月に入る。まだ試用期間のようなものだし自分へのご褒美は早い気もする。
仕事帰り、ふらっと寄った百貨店の小物コーナーでノーブランドだけれど上質そうな財布が目に留まった。次に買う時は、綺麗な色の財布が良い。
目に付いたのは、コバルトブルーの財布。
8800円だった。
末広がりの景気良い価格につい手が伸びたけれど、ボロボロの手持ち財布の中には5000円札しか入っていないことを思い出し、諦めた。
しかも、それは帰りにスーパーで食材を買う為のお金だ。

 また物欲がむくむく湧いて来た。
しばらく最近大人しかったそれは、急激に私の頭を支配する。
ネットであれこれ検索したり、買い物をしていても、前方にいる客の持つ財布が気になったり。
勿論、彼女達のようなブランド財布を買うつもりはないけれど、使い勝手の良い小綺麗なものを使いたいだけだ。

パート代で買ってしまおうか、雑貨屋では2000~3000円程度の合皮の財布が売っている。
でもあの店で見たブルーの財布が脳裏に焼き付いている。
素敵な財布だった。あれが欲しい。

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