レス解消

ハート 家族
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 レス解消した。
夫婦仲も絶好調。
長くて暗い闇のような日々に、ピリオド。



 私と夫とのことではない。
N恵とその旦那とのことだ。
珍しく、N恵からラインがあり、その流れで通話した。
最近の話、子ども達や互いの母親の愚痴のようなことを言い合い、スッキリしたところでその話題。
いや、彼女からしたらそれが本題だったのかも。


「良かったね・・」


 長い間、彼女は旦那とのレスに悩んでいた。その筋にかけて私は大先輩だったので、悩みを聞いては解決することもないだろうアドバイスを送っていた。(渦中にいる者にとって、同じ境遇の人間からのアドバイスは叶わないと知りつつもすんなり素直に受け入れるものだ)
あれこれ試し、いや、私は彼女を通して実験をしていたところもあった。
そのやり方で成功したら私もやってみようーなんて。
もういにしえのことだけれど。今現在、夫とそんな仲になることを想像するだけで鳥肌ものだ。あり得ない。

 下の子を妊娠した時点で解消したかのように思えたそれだったが、出産後、再び音沙汰無しだと聞いたのはもう数年前のこと。
それから私はそっち方面の話に興味が無くなり、きっとそれは更年期によるものなのかもしれないが、自分自身レスで構わないと思うようになってから興味が薄れたのだ。
そして今日の今日まで、N恵も私の同志だと信じて疑わなかったのに。


「もうなくてもいいかなって思ってたんだけどね。でもね、実際そうなってみたら心身ともに信頼出来るようになったんだよね。打算で動いてた部分が無くなったっていうか。仲が深まったっていうか。不思議だよね、あんなにギスギスしてたのに。」


「へー。そうなんだ。良かったね。」


 はしゃぐ声に、なんだか苛々した。
この気持ちは何だろう?嫉妬?今更?
それに輪を掛けて、こっそり観ている彼女の動画で資産が増え続けていることを思い出し、更にその黒い感情がむくむく育つ。


「ママ~、髪、やって。」

「はいはい、ちょっと待ってね。」

 電話の向こうで、恐らく下の子の可愛らしい声。
女の子2人のママ、私が欲しくて手に入れられなかったポジションにいる彼女。


「ごめん!ちょっとお客さん来たみたい。また電話するね!」


 なんだかやりきれなくなり、嘘をついて電話を切った。
優しいイケメン旦那に、可愛い娘2人、裕福で素敵な豪邸に住んでいて、両親は協力的だし、彼女自身は薬剤師。短時間勤務でそこらへんのパート主婦の何倍もの稼ぎを得ることが可能。そして投資で成功してもいる。
一人目から不妊症を悩んでいた割りに、今となればそんな悩みなんて無かったかのような生活を送る彼女にこうもモヤモヤするのは、すべてを持っているから。
何か一つでも、私より劣る何かがあればこんな気持ちになんてならない。
例えば、息子2人だったらそうならなかった。
例えば、旦那が一人っ子だったらそうならなかった。
例えば、例えばーと探したところで、そもそも私より劣るものなんて最初から彼女に無かったのだと気付く。
それは後付けの環境であって、それすら彼女は彼女の魅力的な素質の元、その努力の甲斐もあって、素敵な伴侶と最適な環境を得ることが出来たのだ。
だから、レス解消だって、彼女なるべくしてのものなのだけれど・・だけれど、腑に落ちないのは同じ血が通っているからなのかもしれない。

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