修学旅行出欠確認

神社
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 揉めている。
子が、修学旅行の出欠確認用紙を持ち帰って来た。

「行かなくてもいい?」


 今のクラスに馴染めていないことは知っているけれど、修学旅行を欠席したい程だなんて。
取り敢えず、保留。子が寝た後、帰宅した夫に相談した。
夫はこの頃、家族どころではないくらいに消耗している風で、どこか上の空。
どちらでもいいと言い出す始末。
本来の夫なら、何が何でも出席させるというのに。

「お金も掛からないし、いいでしょ?」

 普段、家計のことなどまったく気にしない癖に、そんな風に言う子が痛々しい。
でも、それで本当に後悔しないのだろうか?


 学生時代の思い出は、大人になっても引きずるものだ。
部活だって、帰宅部だった私は何かにつけ「部活、何入ってた?」と質問されるのが嫌だった。
修学旅行だって、今後の未来に訪れるちょっとした雑談の話題となるだろう。

ー高校の時、修学旅行どこに行った?

ー沖縄だよ。

ーへぇ!いいね。私なんて中学と一緒。京都だったんだけど。

ー私、海外だったよー

ーさすが私立!


 そんな他愛の無い会話に入れず苦しい思いをしないだろうか。
子の状況が分からない分、想像でしかないけれど。欠席したいだなんて、クラスに一人も友達がいないままなのかもしれない。

 ネットで同じ様に悩んでいる学生のつぶやきを眺める。
修学旅行を欠席したいー、親が許してくれない、分かってくれない・・
大人になった時、修学旅行を欠席してしまった罪悪感よりも、無理して出席してトラウマレベルの思い出が出来る方がきつい・・

そんな思いを知れば知る程、果たしてどういった選択が我が子に最適なのか悩む。
一番は、もう高校生なのだし後悔の無い選択を彼女に任せるということなのだろうけれど。
はい、分かりましたーと同意書に判を押すことを躊躇う。
卒業アルバムの修学旅行コーナーに一枚も我が子の写真を見ることが出来ない悲しみと、それに加え、嫌なことから逃げ続ける人生のきっかけになるのではないかという不安。
しかしそれは親目線でしかなく、果たして子のことを思っているのか?

ぐるぐると悩み、まだ答えは出ていない。
去年のクラスで修学旅行に行けたら良かったーと呟いている子の後ろ姿に心揺らぐ。



 


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