夫が見慣れないネクタイをしていた。
夫は出勤、子は学校、一人きりになった日中に書斎を掃除する体でクローゼットのネクタイコーナーを漁る。
裏返すと、フェラガモの文字。
ネットで値段を調べたら、3万円以上。
一体いつ?買ったの?貰ったの!?
思い当たるのは、先月のバレンタインだ。子の受験で頭が一杯で、バレンタインどころではなかった我が家。勿論、夫のその日の手荷物なんて見ていなかったのだけれど。
気付けば、必死に夫のデスク回りを漁っていた。
だが、怪しい引き出しは相変わらず鍵がしっかりと掛かっていたし、また以前通帳などを隠し持っていたアタッシュケースにも鍵が掛かっている。
吉田さんだろうか・・
まだ、続いているのだろうか・・
ホワイトデーに怪しい動きがあるか確認しなくては。
夫に嫌気があんなに差していたのに、なぜだろう。
まだ、少なからず愛情があるから?
無関心にまで至らない、中途半端な感情を持て余している。
