タイ人

屋台 生活
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 今夜は何を作ろうか。
朝食後、食器洗いをしているそばから考える。
冷蔵庫の中身は空っぽ。子は、昼には下校するし寄り道もしないで真っ直ぐ帰るというので昼ご飯の準備もしなくてはならない。
受験生だし、とにかく体は資本。なので、なるべく栄養バランスを考えつつきちんとしたものを作っているつもりだけれど、どうしても外の生活に悩みがある中、ストレスはたまる。

「うちなんて、一人っ子だし女の子だし、あなたは楽でいいね。」

 夫が以前、私に言い放った言葉だ。
義姉らのように、複数子持ちでしかも体育会系でバリバリ部活をしていてその送迎やサポート、また男の子の親は食べる量が高校生ともなると格段に増えるという。なので、数日分を買いだめなんて到底無理。その点、私は2~3日おきのパートが無い日に買い物で事足りるのは恵まれているというのだ。
いやいやいや、どの口が言うか。
だって、私は誰の助けも借りていない中で子育てと家事をして来た。今や病気持ちで体が不自由な義母だって、義姉らが幼い子ども達を抱えて大変だった頃には、しょっちゅう家に招いて料理を振舞っていたようだし、また子どもを預かりもしていた。いつだって夫は私の頑張りを認めてはくれない。
専業主婦の頃は、弁当のおかずだって6品以上、冷食だって使わなかった。すべて作り立ての手作りを提供してきて、最近ようやく少しの手抜きは認められるようになったかと思えばこの台詞だ。

 海外ー例えばタイのように、屋台が立ち並び外食が当たり前。むしろ作る方が高くつく国に生まれていたらどうだっただろうか。こんなストレスとは縁が無かったように思う。料理は、献立を考えることから始まり、家計管理と買い物、それに冷凍保存や下拵えなど、やるべきことが多い。食べた後は片付けだって発生する。そうしたすべてをひっくるめて一言で家事の中の「料理」とカテゴライズされると、その労力と時間はやらない人間側にとっては理解し難いだろう。だから我が夫は、出来損ないだと思う妻に向かって心無い言葉を浴びせれるのだ。楽でいいねと。

 とはいえ、稼ぎのない分際で妻として母として、やるしかない。
どんなに体調不良であってもやる気が出なくても更年期でも、そんな言い訳は仕事ならば通用しない。
気持ちとは裏腹に、面倒な料理を選ぶ。
今夜は、ロールキャベツにしよう。

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