ガクチカ

ウエイトレス
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 子は、私がパートを辞める辞めない悩んでいる間に初バイトを終え、すんなりそこに馴染んでいる。
友達の紹介というだけあって、人間関係も◎
個人経営のイタリアンレストランだ。賄いも付いているので、長時間勤務の時は店の味を楽しめる。
HPで店の口コミを見てみたら、知る人ぞ知る店で☆の数も4以上。

「どう?バイトは慣れた?」

「まだ覚えることは色々あるし、慣れてはないよ。」

 今時の子特有の、余裕ぶった返しを期待していたけれど、案外に子は生真面目だ。そういう部分は私に似ている。

「ママのパート先の大学生バイト、仕事は動画を撮って覚えたらいいって言われたんだけど、花子のとこもそう?」

「まさか。何それ。完全に舐め切ってるじゃん。」

 良かった。うちの子はまともかも・・
聞けば、きちんとメモを取りながら仕事を覚えているらしい。友達からは、真面目過ぎ!と笑われたと言っていたけれど、店長からは褒められたそうだ。
メモを取るだけで褒められるとか‥私の時代では考えられないことだけれど。

 何はともあれ、子のバイトは順調。
だがもうすぐテスト期間なので、いったんお休み。夏休みにはがっつりシフトを入れるそうだ。

「稼ぎ時だからね!」

 初めての社会経験が、こうもすんなりいくなんて。我が子ながら嬉しい気持ちと半分は夫の血筋なのかなと思ったり。大学のサークルや彼氏?らしき影も見えるし、でも今も中高の友達と連絡を取り合い交流は続いているようだし。このまま社交性を失わず、自分らしく生き生きと過ごしてくれたら。
バイト仲間も多種多様で、学生から主婦、フリーターもいるらしい。なので学歴云々コンプに悩むこともなさそう。塾講師にならなくて良かったとちょっと思う。

「ただ、ガクチカにはならなそう・・」

「ガクチカ?」

「うん、大学時代に力を入れたことって意味だよ。ここでのバイトは就活とかではあんま役に立たないかも。なんか人と違うことでもしないと・・」

「あー、飲食店は多そうだもんね。」

「友達、今からそれを見据えてちょっと変わったバイトしてる子もいるんだよね。」

「どんな?」

「カラオケの音楽を作る仕事とか、遺跡の発掘?とか。どこから見付けて来るんだろうって思うけど。珍しいし、それだけで就活の面接で興味持って貰えそう。」

「うーん、まあそうかもだけど。でもまだ大学も始まったばかりだし、今のバイトだって4年間続けなくちゃならない訳じゃないし。一番は大学の授業にちゃんと出て学んで、バイトは二の次じゃないの?」


 我が子にはもっともらしいことを言いながらも、今の子は入学早々、もう就活のことを考えるのかと少々不憫に思えて来た。
第一希望でないにせよ、今の大学に馴染んで来た子。取り敢えず今はまだ一年生。学生生活を楽しんで欲しい。そう思う私はやっぱり親として甘いのかもしれない。


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