新人だから仕方がないことなのだが、職場において半人前だと思い知る。
電話応対一つにしても、取次OKなのかNGなのか判断つかずで保留ボタンを押しては指示を仰ぐ。
そのいちいちが、相手の手を止めてしまう申し訳なさで胃がぎゅっと縮む思いなのだ。
私がいちいち委縮してしまう一方で、同期の花山さんは人の顔色など窺わず、思うままに行動して見える。
米田さんが慌ただしく何かの対応をしているところでもお構いなしに質問する。
こちらがヒヤリとする程、空気を読まない。
余裕が無い時だと、米田さんはイラっとした口ぶりで、
「ちょっと後でもいいですか!?」
声を荒げる感じなのに、
「は~い、また後で声掛けまぁ~す。」
相手の感情に振り回されることもなく、飄々としているのだ。
しかも、
「あの~、こうした方が早くないですか?」
「これってやる意味ありますか~?あの処理と同じことだと思うんですけど~。紙の無駄になりません?」
やたらと語尾を伸ばす話し方で、だが自分の意見をバシバシ言う。
そしてそれが的確なのだろう、そこら辺のお局とは違う米田さんはあっさりと、
「確かに!そっちの方がいいかも。次からはそうしましょう!」
彼女の案に快諾するのだ。
なんていうか、まだ数日しか経っていないのに、良い意味で気を遣わない上司と部下との関係が出来上がっている。私なんて、言われたことも半人前でこなせず、叱られはしないものの先輩達からどう見られているのか不安でたまらないのに。
半人前を脱したい。
今週末も、書き殴ったメモを頼りにマニュアルノート作りだ。
このノートを見返すことなく業務を行えるようになる未来は来るのか、それとも途中でリタイアしてしまうのか。
半人前で終わりたくない。