子は、きちんと自分の役割を全うしていた。
受験の為にーと、自治会の夏祭りの手伝いに出た子。
少し早めの17時に助っ人として現場へ行き、当初の予定より遥かにオーバーの店じまいまで手伝ったのだ。
夫が早めに帰宅し、子の様子を見に行きたいと言い出したので夫婦そろって夏祭り会場へ。
会場はごった返しており、やぐらの周りには浴衣を着た子ども達も。
屋台はどこも賑わっており、子の担当である屋台も列がずらっと。
夫は、
「取り敢えず、生、買って来て。」
ビールが飲みたいと言うので、生ビールの列へ。
飲み物はすぐに買える。ビールを持って夫を探すと子の屋台の列に並んでいた。
子は、綿菓子担当のようで、列に並ぶ小さな子に笑顔で渡していた。
引き受けた時は、あんなにダルそうにしていたのに。
家の中で見る我が子とは違う、生き生きとした表情に驚く。
私達の番になり、子が気付く。
「やだ、パパママ・・」
照れくさそうな顔。
「フランクフルト2本と、綿菓子2つ。」
夫が子に伝える。
子は笑いながら、
「え。綿菓子食べるの!?」
私も驚く。
綿菓子2つって・・一人一つずつではないか。
だが、私も子が売る綿菓子を食べたいと素直に思う。
「ありがとうございましたー!!」
爽やかな笑顔。
普段、斜に構えた我が子の意外な一面に、夫婦共々嬉しい気持ちになった。