PTAのドン

ゴリラ わたし
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 PTAの集まり。
久しぶりの定例会に参加した。
主に、発言権は2,3年生の保護者だ。
まだ体調が万全ではないので、会議中は眠りそうになってしまった。
パートでの打ち合わせを経験しているからか、あんなに緊張感のあった定例会もおままごとのようにすら思える。
委員長の話はまるで心地良いBGMのようで、うつらうつらしてしまった。
次号の打ち合わせは、題材はほぼ決まっているので今後のスケジュール合わせと担当決めくらい。
担当は、これまで同様、学年ごと。後日、学年グループラインで詳細が決められる。
今回、出席したのは委員長から名指しで声が掛ったからだ。
つまり、例の写真の件。
会長の子どもを掲載しそこねたこと。その責任の一端は私にあるから。
会が終わると、委員長がこちらに寄って来た。

「今日、会長、学校にいらっしゃるから。」

 この高校のPTAを取り仕切る会長。確かに、何かと面倒な役回りを保護者代表としてプライベートな時間を削ってまでこなしてくれているのは有難く思う。
しかし、違和感を感じるのだ。
まるで、職場での縦社会のような。委員長は、会長を職場でいえば「社長」のように扱うのだ。それを周囲にも求める。だから厄介。

「私からも電話では謝ったんだけど。やっぱり直接謝罪した方が心象がいいから。」

 悶々としつつも、PTA会議室へ。
この会議室は、いわば本部専用の部屋。
委員長が緊張した面持ちでドアをノックすると、少しの間を置いて返事が返って来たので扉を開けた。


「あぁ、どうも。」


「先日は、広報誌で写真の掲載ミスがありまして。本当に申し訳ありませんでした。」


 委員長が口火を切る。それに対し、会長は柔和な表情を浮かべるが目は笑っていない。
私も空気を読み、謝罪した。


「不快な思いをさせましたこと、申し訳ありませんでした。お子様の最後の体育祭、思い出に残るものでしたのにー、1年で私も何も分からなかったもので、このようなミスをしてしまって。」


「いやいやいや、いいんですよ。わざわざそれを言いに?いや私もね、息子に言われるまで気付かなかったんですよ。息子が広報誌を見て、あれ?ってなってね。いやいや、本当に何とも思っていませんから。」


 これがこの高校のドンかーと思うと、残念な気持ちになった。
くだらない。実にくだらない。


「いやね、本当に応援の練習頑張ってたからね。負けたけどね、でも気持ちは負けてなかったんですよ。写真掲載もね、勝ち負けで決められたら、そりゃあやるせないですよ。うちはいいんですよ。ただ、今後気を付けて貰えたら。去年もね、うちの息子、スピーチ大会に出たんですけどね。掲載されなかったんですよね。なんだろう、あなた方の委員会と相性が悪いのかな。」


「本当に申し訳ありませんでした!!」

 委員長が自分の膝よりも頭を下げる勢いで謝罪した。
私も、彼女に倣って頭を下げた。
まぁまぁという風に会長は取り成しつつも、謝罪が当然といった態度だった。

会議室を出て、委員長や副委員長と別れた。
一緒に帰る気にもならなかった。
幼稚園時代と何も変わらない。すべてがそうだとは言わないけれど、学校関連の役員を買って出る人間は、我が子大好きな周りが見えない過保護な親ばかりなのか?と思えてしまう。
休みの日なのに、どっと疲れた。




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わたし
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