図々しい人

ドローン わたし
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 一瞬、誰だっけ?と思い出すのに時間が掛かった。
久しぶりのアイコンに通知。中学の時に役員が同じだった飯田さんだ。
彼女は勝気で、やたらと委員長らの悪口を言っていた曲者。
あの頃、私はいつも彼女の鬱憤に付き合わされちょっと面倒だったのだけれど、卒業と共に疎遠になっていた。
今更、なんだろう?


ーお久しぶりです!お元気ですか?突然ですが、今月お暇な日ありませんか?ランチでもしませんか~?


 正直、面喰った。
いったい何を企んでいるのだろうか?
ママ友がいない孤独な主婦にとって、思い掛けないお誘いに、ほんの一ミリ程度だが浮足立った。
だが、ランチからの進展は気が進まず、丁重にお断りした。


ー御免なさい、今月は色々と予定が立て込んでいて。またの機会に!


 すると、少ししてから、


ーそうですか、残念!じゃあちょっとだけ会えませんか?買い物のついででもお仕事帰りに5分程度でも!


 怪しい。
たった5分程度ということは、別に私と話したい訳でもなくランチをしたい訳でもないのだろう。
それくらい、いくら馬鹿な私だって気付く。
ふと、学生時代の宗教友達のことを思い出した。
アレと同じ匂いがする。


ー実は、ちょっと頼みがあって。以前、ドローンを持ってるって聞いた気がして。出来ればそれ、ちょっとお借り出来たらと思うんだけど。図々しくて御免なさいね!


 それは、ドローンが流行り始めた時に夫が買ったものなのだけれど、何かの拍子にそれを持っていることを飯田さんに話したことがあった。
それを借りたいと言うのだ。だがそれは、夫の私物だ。勝手に貸せないし、傷が出来たり故障したりとトラブルがあったら面倒なことになる。


ー夫の物で、今は夫の実家に置いて来てしまっていて。実家も遠いので取りに行くことも出来ずごめんなさい!


 遠回しに断った。
するとそっけない感じに、


ーそうですか、分かりました。お忙しいとこ失礼しました。


 ラインのやり取りはここで終了。
態度が一変した彼女にムカついた。図々しいにも程がある。




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わたし
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隣の芝生
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