子のピアノだが、やっぱり辞めたいと言い出した。
夏の発表会に向けての練習も身が入らないし、そもそもそんな状態で舞台にあがったところでグダグダになってしまう。そして、そんな失敗が分かっている発表会の為に勉強時間を減らしたくないと言うのだ。
一度は、夏休みまでーと講師に伝えていたので、それを覆すのは勇気が要った。
けれど、子の人生は子のもので、その選択も然り。講師が子の人生を最期まで見てくれるわけでもないのだ。そしてそこまでの義理を果たす間柄でもない。
「あいちゃんみたいに、夢中になれなかった。」
子は、私が義姉から電話を貰ったタイミングと同じくして、従姉妹だけのグループラインであいちゃんの活躍を知ったようだ。
もしかしたらそれも影響しているのかも。
ちらっと子のスマホを覗くと、そこにはあいちゃんがドレス姿でピアノを弾く姿と、賞状と花束を持つ姿、そしてピアノ会では有名?なのだろうかー、著名人のような人と共にうつる写真。
また、胸の奥にざらりとした嫌な感触が蘇る。
私の子ども、かけがえのない我が子。
ーあなたはそのまんまでいいんだよ
本当にそうだろうか?
それは、期待を捨てたことにならないか。
そもそも、そのまんまってどういうことなのか。
現状維持を受け止めるということは、子に対しての伸びしろを奪っていることにならないか?
ぐるぐる考えても答えは出ないけれど、私が親からされて嫌だったことは絶対に繰り返したくない。
彼女が自分自身を好きになれて、自分が自分で良かったと思える人生を送って欲しい。
ただそれだけ。
なのに、他と比較して自己肯定感が下がっている我が子になんて言葉を掛けたらいいのだろう。
ただただ、大切なこと。唯一無二のかけがえのない存在だということ。だから、誰かと比べたりする必要はないし、自分の好きなことを見付けて欲しい。