社内メール

メール 仕事
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 数日ぶりに出社すると、米田さんから私個人宛てにメールが届いていた。
この間、木佐貫さん経由で頼まれていた仕事の件だ。
年一回の書類作成。

「去年もやって貰ってたみたいだから、分かりますよね。お願いします。」

 そんな風に言われたら、忘れましたなんて言えない。
早速、取り掛かるけれど、すぐに躓く。
木佐貫さんに聞きに行ったら、

「ごめんなさい!子どもが怪我したみたいで早退するんで!去年の見たら分かりますよね?それ見て同じようにやって下さい。終わったら米田さんにメールして、私にも㏄入れておいて下さい!」

 そう言い残して退社してしまったのだった。
まず、去年作成した資料を探した。これに時間がかかり、だが検索窓に変なカンマが入っていたことで見付からなかっただけで、カンマを外したら去年のは勿論、一昨年やそれ以前のものもバックアップのフォルダに入っていた。
去年の資料については、何となく記憶にあるようなないような・・だが作成者に私の名前が入力されていた。
去年のものをコピーして、今年用に書き換えるだけ。思ったよりも簡単だと、サクサク今年用に修正してメール添付したのだが。


ー今年度用に修正しましたか?ちゃんと確認してください。終わったら再度メールをお願いします。


 そっけない一文に、慌てて提出した書類を確認した。
やっぱりどこが違っているのか分からず、だが米田さんに聞けず、時間だけが経ってしまう。
米田さんが席を立った瞬間、花山さんが話し掛けてきた。


「また、なんかやっちゃった~?」


「え?」


 花山さんに声を掛けられ、ビクっとする。


「米田さん、課のグループアドレスccに入れてるから。なんかイヤな感じだよね。」


 まるで見せしめのように、私のミスが社内メールで課全体に伝わっていた。
これって、嫌がらせなのだろうか。背筋がゾッとするのと同時に、ここで長く働くのは厳しいなと思い始める。やっと一年経ったけど、この先何年も出来ないレッテルを貼られながら仕事をすること、それは嫌だなと小さな自尊心が拒絶反応を示す。


「ほら、ここも直さないと。」


 隣で私のPCを覗いて、すぐにミスに気付いた花山さん。
少しも難しいことではなかった。凡ミスだ。例えば、令和6年度の部分を令和7年度に直していなかったーというような。

「ざっと確認してから提出した方がいいよ~」

 
 花山さんは、大したことのないように言うけれど。私は何度も確認したのだ。
彼女はたった数秒で気付いた私のミス。
何度も何度も確認して、よし、大丈夫ーというところでメールした。
なのに。なんで見落としたんだろう。
注意力散漫な自分が憎い。

にしてもー、皆に知らせなくたって。
メールで知らせなくたって。
一言、ここ見落としてるよって言ってくれたらいいのに。

 

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