面と向かってやり合ってくれたらいいのにー
なんて思っていたところ、本当にそうなった。
そしてそのとばっちりが私に。なぜそうなる?
始業早々、木佐貫さんが花山さんを呼び付けた。
私は商品登録という単純作業をしながら、耳をダンボにして聞いていた。
「これ、ちょっとやり方が違ってたから私の方で直しておきました。認識違いかもしれないけど。」
「え?そうなんですか!?知らなかった~初めて聞きましたぁ~」
まるで今、初めて聞いたような風に彼女は驚く。説明を受けていなかったのだから仕方がない。指示したあなたの方が間違えていますよ的な。
「えっと、さらっと説明したような気がするけど・・もしかしたらしてなかったのかな・・」
花山さんがあまりにも悪びれないからか、木佐貫さんは自信を失ったようだ。だがそれを悟られるのも癪に障ったのか、別のことを注意した。
「まあ、次回からはこのやり方でお願いします。それから、Aシートの作業、そろそろ反映させてもらわないと・・」
その作業は、パートが空いた時にやるべきもの。
誰が担当という訳ではない。勿論、私も手が空けばやらなくてはならないが、手が空いた時に限ってその作業は花山さんや黒川さんが既に済ませている。先週もその前も、そのまた前もー
「えー、それ、私が毎回やってますよ!先週はやること多くて出来なかったけど。」
「そうなんですか?でも、全然進んでないから私も先週ちょっとやったんですよ。」
木佐貫さんは木佐貫さんで、社員なのにパートがさぼっているからやらなくてもいいことをしてやったといった感じ。
互いに、引かない。完全に不服そうな彼女達。
なんとなく2人の視線を感じ、目を遣ると、ばっちり視線が合ってしまった。
そうか、他人事ではない、私も当事者なのだと気付く。
黒川さんは休みだったので、私が謝るしかない。
「すみません!私も出来てなくて。いつも花山さんがやってくれてて・・木佐貫さんにまでやっていただいてありがとうございます!」
「それ、部長も見るやつなんで。あんまり作業が進んでないと言われるの私達なんですよ。そんな難しいことじゃないし、お願いします。」
矛先が、花山さんから私にうつる。もうバチバチだ。
米田さんは不在だったのだが、もしその場にいたら口を挟んだだろうか?
いやーな気分。とばっちり。
隣で花山さんは、苛つきながらキーボードを力任せに叩いていたが、勿論、気軽に声など掛けられなかった。
衝突
仕事
