気まずい沈黙

風船 仕事
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 職場的に繁忙期なので、黒川さんが有給を取ったこともあり、今週の勤務は多め。
今日は、花山さんと私の出勤だった。
午前は定例会議に社員が出て、フロアに残された私と花山さん。
いつもなら、彼女の方からペラペラとー主に米田さんらの悪口ー話し掛けてくるのに、一向にそれがない。
静まりかえったフロアで、キーボードを叩く音。そんな時に限って、腹の音が盛大に鳴った。絶対、花山さんに聞こえているはず。なのに反応はない。焦って腹を引っ込めて息を止めるけれどまだまだ鳴りそうな気配。

ぐるぐるぐる~きゅうーっ!

「やっだ~、芝生さん、鳴ってるよぉ。お腹すいたの~?」

 笑いながら、デスク中にあるチョコレートなんかをいつもの彼女だったらくれるだろうが、またまたスルー。気まずい空気に耐えつつも、私の腹の虫はおさまらない。


ぐるぐる~!ごぉ~きゅるきゅるきゅる・・

 さすがにこれはもう恥ずかしいし、素知らぬ顔を続けるのは無理!と思い、自ら花山さんに半笑いで謝った。


「ごめんなさい、お腹の音がうるさくて・・あはは。」

 ちょっとの沈黙の後、こちらにちらっと視線をうつしまたPC画面に戻ると、

「いえ、別に何も聞こえませんでしたよ。」

 なんだそれ。
めちゃくちゃ他人行儀じゃないか。
ついこの間までタメ口だった同期の彼女が、いきなり敬語でしかも嫌な感じ。
何か私、悪いことしましたか?昨日の木佐貫さん絡みのとばっちり、あれが原因!?

 その後も沈黙は続き、きっと私だけだろうけれど気まずい時間が流れた。
私がやるべき登録作業が済み、彼女に何か手伝えることはないかと聞いたけれど、

「私は社員じゃないので、指示は米田さん達から受けて下さい。」


 ぴしゃりと返された。
ものすごく、怒ってる。
そう感じ、だが何が原因なのか思い当たる節はなく、これかもーと思えることはそこまで怒ること?ということで、だからどうしてよいか分からず狼狽える。
ただでさえ居心地の悪い職場なのに、同期にまで嫌われたら、いよいよ私の居場所は無くなってしまう。
ものすごく、鬱だ。

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