相続と居住権

馬 義実家
義実家家族
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 義実家訪問へ。
久しぶりの訪問と三女の様子に緊張したが、なぜか長女や次女もいたことで、見たところは元気そうに見えたので安心した。
最初は、あいちゃんの受験話から始まり、和やかなムードだったのだけれど、夫が、近いうちに同居をしたいニュアンスを義父に伝えると、空気は一変、義姉らが猛反対。
兄弟喧嘩勃発。

 三女は、恐らくこのまま独身だろう。そして義両親も三女を心配しつつも精神的に依存している。共依存というやつだ。私の母と弟と同じような。
近くに長女も次女も住んでいる。義両親と三女との関係性は良好で密に繋がっている。
長男である夫は、これまで義実家の問題にノータッチ(そう言われていた)だった癖に、自分の自営がうまくいかなくなったからという理由だけで同居を口にするのはおかしいと義姉らは言う。もっと早くーつまり義母が脳梗塞になったあの時にその話が出ていたら違っていたけれど、あまりにも自分都合で勝手だというのが彼女らの言い分。そして意外だったのは、三女が私達との同居を拒んだこと。私も三女と一つ屋根の下で暮らすことは絶対に無理だと思っていたけれど、それ以上にあちらの方が拒絶して来たので、肩透かしをくらった気分。なんだか振られたような。
そして、話は思いもかけない方向へ飛躍した。
相続についてだ。
義両親のこれまでのシナリオは、三女は普通に結婚してこの家を出て、そのタイミングで私達家族と同居をし、いずれは長男である息子に家を相続する予定だった。もしも私達が同居を断れば、家を売りそのお金で老人ホーム、もし余剰金が出たら夫に相続という流れ。だが、現実は大きく変わり、三女は独身で結婚の予定もなければ更にメンタル不安定で仕事だってどうなるか分からなくなって来た。そういう中で、せめて住居だけは娘に安心材料として残したいという親心が芽生えて来たのだと言う。家の相続権は自分にあるのではないかと言う夫に対し、

「パパとママがいなくなってカズがこの家を相続したとしても、居住権があるからね。追い出せないよ。」

 次女が鼻息荒く夫に詰め寄る。三女は同居はNG、だがこの家にはい続けたい。となると、義両親が亡くなった後は、俺が住んでもいない家の固定資産税を支払うのか?と夫が反論した。
これまでは、義姉らの前では可愛い弟、そして夫も姉らに歯向かうことなんて殆どなかったのに。仕事がうまくいかない余裕のない今、限界値を越えたのだろう。互いに一歩も引かずの口論。そんなやり取りを一歩引いて聞いていた義父が、口を開いた。

やはり、三女が心配だということ。自分達がいる間は一緒に住み続けたいということ。そして、家の相続については、長男である夫だけではなく三女も視野に入れているということ。それを聞いた夫は顔面蒼白、だが義父は、開業資金の援助、すなわち借金はチャラにするというカードを切ったのだ。

「お前は健康だし、家族もいる。それに、花子だってもう大学だからな。その後は自分でどうにかするだろう。教育費だって援助したんだ。大丈夫だろう?芝生さんと力を合わせれば何とかなるだろう?」

 夫はさすがに我が子にと義父からいただいたお金を自営資金に使い込んだことは言いだせず、ぐうの音も出ない状況だった。
私も、こんな展開になるとは思わず、頭が真っ白。義父は、はっきりとどちらに相続するということまでは口にしなかったけれど、息子一択だった思いが変わったのは事実だった。

 この先どうなっていくのかー、そして私も夫と同様、なんだかんだで義実家を頼っていたことに気付く。夫婦揃って、甘かったのだ。

 帰りの車では、夫も私も一言も口を利かなかった。
夫が自営から手を引くことになるか、試験に合格し続行するかはまだ分からないけれど、同居の線だけではない相続という一縷の望みも薄くなりつつある。確かに、長女や次女にも嫁に出たとはいえ、孫の教育費の援助やマイホームを建てればいくらかの援助をしてきた義両親。独身の三女にだけ何もしてあげれていないのは、親としたら心苦しいのだろう。いや、いまや我が子達の中で、一番心配で可愛いのは手元にいる三女なのだろう。それが親心であり、自然な流れだ。

 私もこの半年で、本気で収入をあげなければならなくなった。
夫も転職することになれば、一気に生活が変わる。



 

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