救急車

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 子の学校、また学級閉鎖で休み。
休めてラッキーと喜んだ束の間、喉が痛いと言い出した。
額を触ると熱い。熱を測ると38.3℃。

「私の周りの席、インフルで休みだった。」

ビンゴー
インフル感染確定だ。

かかりつけ医に電話をすると、

「本日の発熱外来の予約は終了しました。」

と、冷たい対応。
他、小児科に電話するがすべてお断り。
発症から48時間以内でないと検査結果も出ないかもと思い、翌朝まで待つことにしたのだが、これが判断ミスだった。

 夜中。
子がうめき声をあげ発狂しかねない感じになり夫も起こした。

「イタイイタイイタイイタイ!!!!」

七転八倒、ベッドの上をのたうち回る子。尋常ではない。
そして、嘔吐。
そして、痙攣。
私は気が動転し、心臓が飛び上がり、体が固まり動けなくなった。


「救急車、呼ぶぞ。」


 夫が携帯から救急車を呼んだ。
私はただ、子の傍でおろおろしながら声を掛けることしか出来なかった。


「保険証は!早く!それといつから熱があった!?」


「えっと、確か夕方。38.5℃で喉が痛いって言ってた。」


夫は、電話口で子の年齢と性別と症状を伝える。冷静過ぎる夫の背中に私の知らない一面を見た。
電話を切ると、夫はすぐに子の元に駆け寄り、声を掛けた。

「花子、大丈夫か?もうすぐ救急車が来るからな。」


その間も、子はガクガク体を震わせ泡を吹き、目は宙を見つめこちらの声掛けに反応しない。
怖かった。
まるで我が子が我が子ではないような、知らない誰かを見ているような、恐ろしい状況に、これが夢であって欲しいと願うばかりだった。


チャイムが鳴り救急隊が室内に入ると、担架に乗せられ救急車へ。
母子手帳や保険証、財布を持ち、一緒に乗り込んだ。
再び、子の名前や年齢、持病のあるなし、それに症状等を時系列で質問された。
車内で測った時の体温は、見たことのない数値ー40℃越え。

病院に到着し点滴などの処置をして貰うと、少しして子の目が覚めた。
私達のことも、認識出来ていた。
脳症とか色々恐ろしいことを想像し、気が動転していたけれど、その日中に帰宅許可が出て胸を撫でおろす。
インフル用の薬も飲み、今はすっかり落ち着いている。
子は、痙攣したことも意識を失ったことも記憶にはないようで、ただ辛かったとだけ。
目線もいつも通りの我が子に、戻って来てくれたーとただただ感謝の気持ちで一杯だった。
夫も疲れたのか、自宅に戻り子と一緒にいびきをかいてグウグウ寝てしまった。
普段は思うところが多いけれど、父親としては頼りになる愛情深い人なのだ。



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