咳エチケット

マスク 生活
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 夫の咳が酷い。
なのに、マスクをしない。
コロナ禍の時は、吉田さんから貰った手作り布マスクを律儀につけていたというのに。
ゲホゲホと、まるで嘔吐するかのように腹の底から音を出すものだから、耳障り。
心配よりも先に、周囲に気を遣えない夫に腹が立つのだ。

もうすぐテストがある子。
年頃になり、夫と子の関係は若干悪くなりつつある。
あんなに溺愛していたのに、最近は口答えも激しい我が子を持て余してしまうのかもしれない。
また、学力においても期待通りにいかないことで、苛々を隠し切れない夫。
これまで子の教育についてはあまり関心が無かった癖に、大学受験が見えてから急に口出し。
そりゃあ、子からしたらうざったい父親だろう。


「ウエーックション!!ゲホゲホ!!」

 食事中、料理に咳をぶちまける。菌があちこちに付着するさまを想像すると嫌になる。
せめて、口元を抑えるかそっぽを向くかして欲しいのに。

「パパ、咳エチケットって言葉知ってる?」

 子がしかめ面で問いかける。
さすがに夫もその意味を理解したようで、


「はいはい、すみませんね。」

 そう言い放つと、突然立ち上がり、自分の皿を持ってリビングのローテーブルへ。
最初からそうして欲しかった。

私が注意したら、逆切れする夫。だがやはり娘から言われると大人しく従う。
それが救いでもあり、でもやっぱりムカつくのだ。


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