夫の仕事関係で、菓子折りを用意しなくてはならず、パートの帰りにデパ地下に寄った。
この時期、お盆前ということもありものすごい人の数。
予算は決まっていたが、高価そうなもの。だが満足感のあるコスパの良いものを探す。
先方は和菓子好きということもあり、その辺を探すけれど、賞味期限を考慮するとこれといったものが少ない。
涼し気な水ようかんやくずきりなど、どれも2~3日以内に食べなくてはならない。
結局、無難な数週間は日持ちする和菓子を購入した。
ぶらぶらと活気づいているデパ地下を散策。
店舗により、長打の列。限定物にはみんな興味津々。美味しそうなチーズケーキやフィナンシェ、私は和菓子も好きだがどちらかといえば洋菓子派なので、ふらふらとそっち方面の店舗ばかりに吸い寄せられる。
「よろしければ、試食をどうぞ。」
差し出されたそれは、見たこともないお菓子。見た目は大きなポップコーンのような・・一口で放り込むと、店員が笑顔で爪楊枝を捨てる箱を差し出してくれる。
チョコレートでコーティングされているが、次第にふわふわとした感触に。中にはナッツがぎっしり。
とても美味しい。
目の前の店員が、
「帰省時のお土産にも喜ばれますよ。ここでしか手に入らないので。」
ちらっと店頭に置かれた商品の価格をチラ見する。一番小さな箱ー、6個入りのそれが980円。
このポップコーン一つに160円ちょっとか・・高い。ドラッグストアで底値で売っているチョコチップクッキー20枚入りが2箱も買えるではないか・・
引き攣り笑顔で退散。
その後も、美味しそうなゼリーや小さなバターサンドなど、ついつい価格を気にしてしまう。
箱代込みであっても、一つあたり500円?高いものでは900円!?一昔前はそれがその商品ひと箱あたりの金額だったのが、今はその中身ひとつでその金額なのだ。
バレンタイン時期も思うけれど、一粒辺り300円ちょっともするチョコレートだとか、そういうセレブが好むスイーツを無性に欲する時があるけれど、今の私は財布の紐が固い。
試食でなんとかとどまることが出来た。
デパ地下にいると、日頃、物価高だ節約だと大騒ぎしている日本と切り離された別世界に足を踏み入れたかのような錯覚に陥る。5000円もする箱入りサブレを何箱もかごに入れる人や、3枚入りで2000円もするバタークッキーを大人買いしていたり、躊躇することもなくポンポンかごに高価なスイーツを放り込む人々。底値でお菓子が買えるドラッグストアーにいる客層とは違うように思う。
子が好きな店舗のエクレアを見付ける。1本670円。ケーキ並みの価格。というか、デパ地下のエクレアはスーパーで98円で売られているやつとはわけが違う。
勿体ないという気持ちを押し込め、家で勉強を頑張っている子の差し入れにと買うことにした。
「おひとつですか?」
この問いにYESは恥ずかしく思ったけれど、独り身ではないし子どものお土産。
自分の分まで購入して1000円以上支払う気にはさすがになれなかった。
一番小さい箱に丁寧に入れられたエクレア。
まるで宝物を持ち帰るように、崩さないように、帰り道はゆっくりと自転車を漕いだ。
お盆前のデパ地下
