いよいよ、子の弁当生活が始まる。
夫と夫の同僚にも時々作っていた弁当だけれど。
我が子に作る弁当は、違った意味で気合が要る。
幼稚園以来の弁当。
そしてこの3年間の弁当生活が、私と子を繋ぐ大切な絆となるようなー、そんな予感がしてならない。
新しい弁当箱
まずは形からー
中学でも部活弁当が要る時は度々あった。なので弁当箱はあるのだけれど、高校生になり、新しい弁当箱を買ってあげたいと思い子に聞いた。
「どんなお弁当箱が欲しい?」
すると、
「わっぱ弁当箱が欲しい。」
ーえ?あのわっぱ!?JKが??渋すぎる・・
「可愛くない?それに、学校ではチン出来ないし、わっぱだとご飯が美味しいままらしいよ。」
確かにー。機能性で考えたらわっぱも悪くない。
学校では冷たいお弁当を食べることになる。
となると、少しでも美味しいご飯が食べたいと思うのは決しておかしな話でもない。
子が、スマホで見せてくれた弁当箱。
何の変哲もない、丸形のわっぱ弁当。
だが、この弁当箱になんてことないおかずにご飯を入れたら、それなりに美味しそうに見えるかもーと思う。
プラスティックの弁当箱よりも品があるし、まるで老舗料亭の仕出し弁当的な。
調理グッズあれこれ
子の弁当箱を無事購入し、今度は調理器具。
百均にも様々な弁当作りの為の便利グッズはあるけれど、インスタやYOUTUBEで観た例のグッズが欲しい。
卵焼きフライパンが欲しい。
これは、セパレートタイプのもので、片側に卵焼き、もう片側にウインナーなどの炒め物が出来るという優れもの。
朝の忙しい時に、いっぺんに2品のおかずが出来上がるのだ。
早速、販売店に向かいフライパンコーナーへ一直線。
意気揚々と、「売れ筋第一位!!」とポップが描かれたそのフライパンを手に取るが・・
重い。
残念なことに、とても重い。
手首が疲れてしまう。
便利さと重さを天秤に掛けた時ー、私は調理中ではなくその後のことを思い浮かべた。
フライパンを洗い、乾かし片付ける工程。
この工程は、重いフライパンだと億劫。そしてその億劫で使う頻度が減っていく。
一時流行ったスキレット。
あれもそうだった。
最初のうちは楽しく使用していたけれど、その重さから洗うのが非常に面倒になり、段々と日の目を見ることが無くなって行った。
今や、流し場の下の棚にひっそりと眠っている。
このフライパンがそのスキレットの上に重ねられる様が容易に想像出来た瞬間、そっとそれを元の場所に戻し、店を出た。
固定のおかずを決めること
夫や犬塚さんのお弁当を作っていた時もそうだったのだけれど。
とにかく毎日の負担を減らすべく、ルーティン化してしまうのが良い。
卵焼きとウインナー、プチトマト、それにブロッコリーor冷凍枝豆を固定のおかずにするのだ。
それに、煮物。
これは、晩御飯のおかずを多めに作り取り分けて冷凍しておく。
冷凍嫌いの夫は、当初これをとても嫌がっていたけれど、実際口にしてみたらそこまで味に変化はなかったことで容認してくれるようになった。
いや、容認してくれなければ困る。朝にいちから7~8品なんて作ってはいられない。
固定のおかずが決まれば、あとはメインだけを考えれば良い。
魚だったら、焼鮭やソテー。
頑張って白身魚のフライなんかにしてもいい。
肉だったらもっとバリエーションは多く、定番のから揚げから始まり、生姜焼きやしぐれ煮、ただ肉を焼いて塩コショウでもいい。
それにケチャップだったりソースだったり、ポン酢だったりマヨだったりカレーだったり。
いくらでも味付けのバリエーションは豊富にある。
離れていても家を感じられるのが弁当
弁当はー。特に、家から持って来た弁当は、その家の香りがある。
家庭の味。
それは、そこで生まれ育った者にしか分からない、家を感じられる味だ。
高校生になり、家族よりも友達と過ごす時間が圧倒的に増えるだろう我が子。
会話をする時間も今より減るだろうし、どんどん世界が広がり、きっと私や夫のことを思い出す時間なんて一日のうちに何時間もあるかどうか。
共に暮らしていたって、同じ屋根の下にいたって、学校生活や友達、それに好きな人のことを想う時間が多くなるのだろうと思う。
それでもー、家から離れてふっと一息。弁当箱の蓋を開ける瞬間。
今日のおかずは何だろうという、ちょっとだけワクワクした気持ち。
離れていても、そんな楽しい気持ちを毎日届けられることは素敵なこと。
学校生活、楽しいことばかりではないかもしれない。
辛いこと、悔しいことや悲しいこともあるだろう。
そんな時、心に寄り添えるような、一瞬でも安心出来るような時間をくれる。
それが、弁当なのだと思う。
そんな風に、子にとって私にとっての弁当を考えていたら、いつの間にあれだけ負担に感じていた気持ちがすーっと軽くなり、むしろ弁当作りが楽しみになって来た。
母親が作る弁当は、どんなずぼら弁当だって子どもの心と身体を作るのだ。
それに、親子のキラキラした思い出も。
遠い先の未来、ふっと記憶に蘇るような、そんな暖かな弁当を作っていきたい。