矯正装置が壊れた。
先月からうまくはまらないと子が訴えており、ネジを戻したりと対策はしていたのだけれど。
しかも、まだまだネジは十分広げられる段階なので、作り替えのタイミングではない。
急遽、子を連れて歯医者へ。
「あ~、これはちょっと、修理出来る状態じゃないですね。残念ですが、もう一度作り替えですね・・ちゃんと装置つけてる?」
子は、歯科医に尋ねられ少し慌てた様子。
「学校でつけてる?一日14時間以上、せめて12時間以上は付けないと効果ないし、うまく嵌らなくなるよ。いつもどれくらいの時間付けてる?」
「7時間くらい?寝る時しかつけてません。」
「あー、前にも説明したと思うけど、高校生だから授業中につけるとか。そうでなくても睡眠時だけじゃなくて放課後とか塾の間とか・・じゃないと、装置が合わなくなっちゃうんだよ。戻る力は矯正する何倍も強いし速いから。」
「分かりました。」
結局、作り替えが決定。
まだ使えたのに、また作るとなると20万円。
歯型を取って、また最初から。さすがに苛々してしまう。
「先生の説明、ちゃんと聞いてなかったの?ねえ、寝る時も最近はつけてなかったんじゃないの?」
高校生になり、矯正の時は大金を支払う時は付き添うが、そうでない検診などでは一人で通院させていた。
それに、私も注意深く子の口内を確認していなかった。てっきり食事以外は装着しているのだと思い込んでいた。
まだ矯正を始めた時は口酸っぱく注意していたのだ。私がいちいち言わなくても、もう分かる年齢だと思っていた。
「最近は寝る時もつけなかったな。だって、なんか面倒くさいし、そもそも装置って臭いから吐き気するし。」
へらへら笑いながら答える我が子に、ついに堪忍袋の緒が切れた。
「はぁ!?何それ。そんな理由でさぼってた訳!?あ~、また20万・・勘弁してよ。ちゃんとつけないと意味ないんだって!」
「あれつけてると、よく眠れないんだよ。違和感あるしさ。それに学校でつけたら、グループワークとかで発言する時へんな風に見られるんだって。喋りにくいんだって。ママには分からないだろうけど。」
「じゃあ、辞める!?辞めてもいいんだけど、またやりたくなったら自分で働くなりして払ってよ。」
ついつい感情的になり嫌な言葉が出てしまう。
経済的にカツカツになりつつある我が家だが、そんなことは露知らず呑気な我が子に腹が立つ。
それに、夫にまた報告するのも気が重い。
どうせ、私がちゃんと管理しないからだとなじられるにきまってる。
破損した装置がまでもが憎々しく、ゴミ箱に力一杯ぶち込んだ。