やっぱり私は選ばれない

白ワイン わたし
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 採用されるかもしれないー、なんておこがましいことを思った自分が恥ずかしい。
あっけなく、終了。
不採用メールを目の前に、期待していた少し前の私をあざ笑う。
私はやっぱり私で、私以上でも以下でもなくて、要するに選ばれない方寄りの人間だ。
奇跡的に夫がいて子どもがいるけれど、もうそれは人生の運をすべて使い切ったのかもしれない。

もうすぐ事務パートを始めて一年になる。
となると、意味が分からないけれど妙な自信がついていたことも否めない。
出来ない割に、すぐ調子に乗るのが私の悪い癖。
いつものよくない部分が過剰に出てしまったのだ。


「病院の受付?あなた、医療事務の資格なんて持ってたっけ?」

「いや。ないけど未経験OKのところなの。花子も昔通っていたところ、感じの良い病院だよ。」


 夫にまで、採用される前提でペラペラ話してしまった先週末。
結果を伝えるのが今から憂鬱。


「いいじゃないか。そこで経験積んでから資格取れば、姉さんのところでもいずれ雇ってもらえるかもな。」


 それは勘弁。
なぜ大嫌いな義姉にこき使われなければならないのか?
いずれ同居でも決め込んでいるのか?
確かに、義兄が開業したクリニックは義実家から近く、義姉も手伝いと称し事務方全般を担っていて人がすぐに辞めて大変だとぼやいていたけれど。
それはあんたの性格に難があるからでしょうにと心の中で常日頃思い続けていることを夫は知らない。


 なんだかむしゃくしゃして、久しぶりに昼酒をあおってしまった。
398円の安い白ワイン。きっと、料理酒にでも使うものなのだけれど、それを私は愛飲している。
ごくごくと3杯目をグラスに注ぎ喉を鳴らすうちに、なんだかすべての悩みがどうってことのない、いずれ解決するだろうものに変換されるから、酒はやめられない。


「ちょっと、ママ。飲んでたの?」


 子が、思うより早く帰宅して驚く。
そうだ、今日は授業が短縮で早いって言ってたっけ。
真昼間から酒臭い母親に顔をしかめつつ、自室で塾のオンライン授業を受ける我が子に対し、なぜか頼もしい気持ちまで湧く始末。


「頑張って!おやついる~?」

「いい、ダイエット中だから。」


 塩対応されても、根拠の無い自信がなぜかむくむく湧いてくる。



「テスト、うまくいくといいね!期末も良かったらいいとこ受けられるね!」


「・・ちょっと、静かにして。集中出来ない。」


 つい先日は、体育祭のダンスの練習をする我が子にヤキモキしていたというのに。
自分の情緒の上げ下げについていけないと思うのは大抵酔いの醒めた翌日。
今は、「選ばれなかった私」からしばし目を背けたい。
夫が飲んで帰宅するなんて日だからこそ、私は駄目人間になる一方なのだ。






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わたし
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