同期への嫉妬

りんご 仕事
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 台風の影響で大雨だった日。
米田さんから休んで良いと言われたのはどうやら私だけで、花山さんは出社していたことが分かった。

「えー、なんで?私も休みたかったぁ~。てっきり芝生さんが休みの連絡したんだと思ってた。」

 花山さんは、私が自ら欠勤連絡をしていたと思っていた。
私はそれを知り、考え込んでしまった。
花山さんは、だがすぐに切り替え、仕事を始める。
私も黙々と、朝の簡単なルーティン作業に取り掛かる。
事務仕事なので、日々のルーティンはあるのだけれど、その中でも雑用や簡単なものは私ー、ミスが許されないような仕事やちょっと頭をつかいそうなものは花山さん。そんな風にいつの間にか業務は振り分けられている。
もやもやしつつも、仕方がない。だが、日に日に認められない自分が情けなく居心地の悪さは募る。

台風でも来て欲しい人材。必要な人材。それが花山さん。
対し、来ても来なくてもどうでも良い人材、それが私。
仕事量や質について、私がどうのこうの言うのはお門違い。それは、上が決めること。
文句があるのなら、自らのスキルを磨けばいい。
分かってはいても、人には知られない自分だけの心の中では愚痴を吐く。
花山さんはアレだ。
努力せずとも高得点を取り、それを鼻に掛けるタイプ。学生時代もそういう人間がいたことを思い出す。
自分より出来ない子に親切なのは、周囲から出来る上に優しい人だと思われたいから。
自分を良く見せたいが為に、私のような出来損ないの人間が身近にいるのは好都合。
こんな風に思うのは、なんだかんだ私が彼女に嫉妬しているから。
仕事の出来は勿論のこと、何の悩みもなく楽しそうに馴染んでいる花山さんに本当はなりたいから。

「今日は、お弁当持って来ているので。」

 米田さん達とのランチを断った。
子の弁当を作るついでに自分の分も作って来た。
若干、気まずい空気が流れた気がしたが、気付かないふりをした。
休み時間は私のもの。無理に作り笑いをしたり、時給分のお金を無駄にするのは勿体無い。




 

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