解放

鳥 仕事
スポンサーリンク

 情けないけれど、面談の結果、退職することになった。
キリ良く年度末で退職。
有給も欠勤が多く残っていないので、今月はシフト通りの出勤となる。
もうこのまま欠勤でいいから辞めてしまいたいと思ったけれど、年度末は何かと雑用が多いらしく、こんな私でもいなくなると困ると言われた。
デスクにぼーっと座っていたり周囲が忙しく業務をこなす間、やることを必死で探していた先月までが嘘のように、退職が決まった途端、雑務がわんさか押し寄せて来た。
リーダーも人事も引き留めてくれたけれど、もう迷うことはなかった。


「ゆっくりでいいんです。4月から入社する新人が行う研修メニューにいくつか参加して貰おうとも思っているんですよ。」


 この一言で、もう無理だと思った。
人によっては、スキルアップのチャンスだと思うこの打診は、私にとっては重過ぎるプレッシャー。
研修?
新卒と?
どの立場で?パートなのに?
もうこれ以上自分の無能さをさらけ出し続けるのは限界。
仕事とはお金を得るもの。楽しいものではない。それでも、こんなに精神的苦痛を伴いながら休みの日まで息苦しい思いをしながら働き続けるメリットがどうしても私の中で見出せなかった。


 甘過ぎるのかもしれない。
もしかしたら、後悔するかもしれない。
踏ん張れば良かったと思うかもしれない。
でも、「今」無理なのだ。
逃げることは悪いことじゃない。自身を守る為にも。

私が頑なに首を振り続けるものだから、最後は人事もリーダーも諦めてくれた。
いや、こんなに人を大切に、たかがパートのおばさんを新卒同様に扱ってくれる職場はもうないだろう。
ただ、私には勿体なさ過ぎた。
もっと能力が高く向上心のある人材を雇った方がいい。

退職日が決まり、心はぱーっと晴れた。
だが次も決まっていない現状で、この晴れやかな気持ちは持続しないことも分かっているけれど。


タイトルとURLをコピーしました