キッチン、バストイレ、窓に玄関・・
義実家の大掃除に駆り出され、ほとほと疲れ果てた。
夫は途中、手伝いにやって来た次女の夫と作業を放り出して話し出す始末。
次女は、掃除というよりも遊びに来たようで、義母とお茶を飲みながらお喋り。まったく掃除をしない三女も自室から降りて来て、お喋り。長い休職期間からの復帰をし、心身ともにまだ危うい状態だからと掃除は免除されているのだった。
「あなたも、ちょっと休んだら?」
休みっぱなしの次女に声を掛けられたけれど、完全アウェイのお茶会に乗り込む方がきつい。いったんそこに入れば抜けるタイミングも難しいし・・だが、空気を読んで愛想笑いで席についた。
「花子、どうなの?第一志望受かりそう?」
ほら、始まった。
結局子どもの話になるし、そこからの流れも決まってる。
「カズから聞いたけど、立教第一なんだって?どれくらいの判定貰ってるの?」
「いや、私、よく分からなくて・・・全部、本人と塾に任せているので。」
「受かるといいよね、最低でもやっぱり先を考えるとなんだかんだMarchだからね。」
自分がMarch卒だからか、謙遜っぽく「最低でも」と付け加える次女だけれど、短大卒の私を前にそういう台詞を吐く彼女は、偏差値は高いかもしれないが人としては下衆だと思う。
「私も、普通の大学受験については色々アドバイス出来るけど、さすがに芸大のことはさっぱり分からなくて。専門塾に投げっぱなし。浪人も覚悟しないとって言われてて、女の子だし思うところはあるよ。本人の前では言えないけど、やっぱりお金がねすっごく掛かる。だから国立目指してくれているのは親孝行だよね。いずれ留学とかも考えるだろうから、学費に付随する費用は桁違いだと思うし。」
「お金のことなんて考えさせずに、本人のしたいことをさせてやらなくちゃ。お父さんもそう言ってるわよ。お金のことで心配があるなら言いなさい。援助なら、いくらでもするから。」
「ありがとう。」
「あいは才能があるんだから。」
「やりたいことが特になくて、なんとなく行く大学に出すのとは違うって。はっきり目的意識持ってるんだから、ママ達に甘えればいいんだよ。」
病み上がりなの?と思うくらいにペラペラと、言いたいことを言う三女。その言葉は、我が子がこの場にいたら耳の痛くなる言葉だった。
そう、我が子にも大学費用として数百万、義父から夫経由にいただいた。だがそれは夫の自営資金に流れてしまった事実を義両親は知らない。
いったいこの家はどれだけの資産があるのか?それは彼らの老後資金は避けたその残りなのか定かではないけれど、私の実家よりはやはり裕福で、だから肩身が狭いと思うことが多い。
以前、長女から夫が自営を始める際の義両親からの借金について、辛辣なことを言われたけれど・・私の知らないあちこちにこうしてお金が流れているのだと思う。
義実家の懐事情はいったいどうなっているのか?認知検査はまだ受けていないようだが、何となく会話のずれや物忘れが多い彼らの金銭感覚に一抹の不安がよぎる。
