お金がない主婦のオフィスカジュアル

アパレル 仕事
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 働くにあたり、着て行く服がまるでないということに気付いた。
これまでの清掃や総菜、工場などの作業系パートは、普段着のまま出勤というのが当たり前だった。
それはどこも、会社支給の作業着があったから。
自分の服の上からそれをすっぽりかぶれば、皆同じ。
一種の制服のようなものだったので、その点においては気楽であった。

ただ、オフィスワークというとそうもいかない。
明らかに、あのビル内で働く人達はテレビドラマに出て来るような、素敵な服装の人達ばかり。
私がこれから働く会社は、そのビルのとある階数にあるのだけれど。
そのすべてが同業ではなさそうだが、彼等の中で悪目立ちだけはしたくない。

 


服装自由!オフィスカジュアルとは?

「服装は自由ですよ。ジーパンやTシャツでなければ。まあ所謂、オフィスカジュアルですね。」

 これが、人事担当者に聞いての回答。
面接や入社書類の提出等で会社に出向く時は手持ちのスーツで良いけれど、これから通勤に着て行く服が無い。
会社側は何でも良い風なことを言っているけれど。
自由ーと言いつつ、オフィスカジュアルでと言われ、いったいどうすれば良いのか戸惑う。
しかし、人事担当者は男性だったので、いまいちそれ以上踏み込んで聞くのが躊躇われた。

「まぁ、常識の範囲内で。」

 こう付け加えられ、なおさら困った。
常識という言葉。
これが一番厄介だ。
そのボーダーラインはある程度は決まってはいるだろうものの、私のようにこれまでのんびりとマイペースに過ごして来た主婦にとって、会社とのズレが生じることに不安が募る。

 ふらりと百貨店のレディス売り場へ。
素敵だなーと、マネキンが着用している服の値札を見て驚く。
半袖のさらりとした生地のカットソーなのだが、1万円以上もした。

「素敵ですよね~」

 すぐに一見の客を捕まえようと、店員が近寄って来る。
引き攣り笑いで小さく頷き、逃げるようにその店を後にした。

 新宿は、広い。
百貨店は敷居が高いけれど、そうではない駅ナカにある雑多なショップを見て回ることにした。
思った通り、客層を見ても分かるけれど、比較的リーズナブルな価格帯で会社でも着られそうな服が色々と売られていた。
それでも、高い。
私にとっては。
なんだか疲れ果ててしまい、ウインドウショッピングだけしてその日は帰宅した。


プチプラオフィスカジュアル

 結局、ネットで色々と調べてからショップに足を運ぶことにした。
そして見付けた「ハニーズ」という店。
この店は、中高生くらいの女子御用達のショップだと思っていたが、どうやら数年前から大人女性に向けた服も販売しているらしい。
それこそ、会社用だけでなく入学式や卒業式などにも使えそうな服がたくさん。
そして何より、財布に優しい。
ストライプの涼し気な半袖ブラウスが1000円ちょっと。
一目ぼれして購入してしまった。
その他、パンツ。
ジーンズやチノパンしか持ち合わせがないので、レーヨン生地の涼し気なテーパードパンツを買うことにした。
色々と試着し、初期投資ということで無難な黒とベージュを2本購入。
合計、5000円を超えてしまったけれど、働いて返すのだーと以前に義父からいただいた虎の子を使うことにした。



バッグや靴は家にあるもので

 本当は、ネットでお洒落な人らがよく行く店ーしまむらに行ってみたかった。
だが、家の近くに店舗がない。
ユニクロやGUでセール価格の無地ブラウスや綺麗めカットソーをワンコインちょっとで購入。
無難なものが使いやすい。

トップス3枚にボトム2枚、当面はこれを着回してなんとかしようと思う。
そして、通勤バッグと靴。
この2つは、家にあるもので対応することにした。
とはいっても、子の入学式や卒業式ーこれまでのパート面接でも使っていたものだ。
黒いバッグに靴。
これからの暑い時期にそぐわない気がしたけれど、これ以上はお金を掛けられない。
アクセサリーなどは付けないし地味に見えるだろうけれど、おばさんだしバイトだし新人だし、それで良いのだ。




準備OK あとはその日を待つのみ

 来週の入社を控えて、気もそぞろ。
新しい服を洗濯機にかけて天日干し。
ゆらゆら揺れるブラウスに、これまでにないワクワクした気持ち。
やっと変われる。

傍からみたら、ただのバイトだけど。
私にとっては大変革なのだ。
もう諦めていた、オフィスワーク。座って出来る仕事。
そしてあの綺麗なビルの中に颯爽と入っていく自分を思い浮かべると、これまでの自分すらどこかへ消えてしまうのではないかと思う。

 明日は、入社手続き。
いよいよあの会社に迎え入れられる時が来たのだ。
夢のようだが現実。

今夜は早寝して、明日に備えよう。


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