パートという身分で義理チョコを社員男性に渡すことについて。
昨日は事務パートの日。相変わらず週一の勤務。
花山さんや黒川さんも出社しており、朝から手持ち無沙汰。
だが、事務所内も月の真ん中でぽっかりと余裕があるせいか、業務中だが軽く雑談しつつという感じ。
私は与えられた書類の穴あけとファイリング、もうすぐ年度が切り替わるので新しく次年度の書類をまとめるのに必要なテプラを作成したりと誰でも出来るような雑務をこなしていた。
もうすぐ定時。
パートの2人がいる時は、私に難しい仕事は振ってこないのでのろのろと時間に合わせ作業する。
チャイムが鳴り、花山さんも黒川さんもPCをシャットダウン、身の回りの片付けを始めた。
隣の席の花山さんが、ゴソゴソとデスク下にある大きな紙袋を出し、部長の元へ。
「これ、義理ですけど(笑)。明日はお休みなので、一足早いバレンタインどうぞ♡」
「お!いいの?そんな気を遣わなくていいのに。ありがとう。」
デレデレした顔で綺麗な包み紙を受け取る部長。
その後、彼女はフロアの男性社員にチョコを配り始める。
黒川さんがぼそっと呟く。
「明日、私も渡さなくちゃですかね・・」
微妙に困った感じのニュアンス。
米田さんと木佐貫さんはどう思っているのだろう。
彼女達をちらっと見ると、平然とPC画面を見つめ仕事をしていた。
「はい!これ米田さん、木佐貫さん♪」
「え!ちょっとちょっとお金使い過ぎじゃない?私達にまで!?」
「いつもお世話になってますから~」
「ありがとう。」
2人は笑顔で受け取っていたけれど、内心どう思っているのかこちらがひやひやする。
席を立ち、退社しようとしたところ呼び止められた。
「芝生さーん、クロちゃん!待って、2人にもあるから!」
「ありがとうございます・・・」
「ありがとうございます・・・」
私も黒川さんも、うまく笑顔を作れたか微妙だけれど、明らかに義理だと分かるそれを受け取った。
恐らく、一つ300円~くらいのチョコレート。
これはお返しが必要なやつ?
ふと、夫がサラリーマンの時に貰った義理チョコに悩まされたことをチョコを貰った当事者になって思い出す。高級チョコにはそれ相応のお返しをするにしても、そうでないチョコに差をつけるのは嫌らしいと夫が全員分それ相応のホワイトデーを返して結構な金額を掛けていたこととか。
配る本人は満足かもしれないけれど、貰った方は困惑する。それが義理チョコ。
この文化、最近では消えつつあるかと思っていたがー私と同世代の花山さんは、典型的な昭和女子なのかもしれない。