退職マナー

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 飛ぶ鳥、跡を濁さず。
退職日までのカウントダウン。そんな言葉がよぎる。

週2~3日勤務の私は、あと5日程でこの職場とはさよなら。
相変わらず昨日も、小川さんから頼まれたデータ処理をするだけして帰宅。
彼女は有給を取っていたので、直接仕事を頼まれた訳ではなく、デスクの上に付箋が貼られた書類が置かれていただけ。
派遣さんも私同様、小川さんがいないことで黙々としているだろうと思いきや、他部署から仕事を頼まれているようで、名前を呼ばれたりそれに応えたり。必要とされている。
本来、私が求められていた役目をしっかり果たしてる彼女。きっと来年度の契約更新もされているのだろうと思う。

 退職日にはきっと朝礼で挨拶をすることになるだろう。内容を考えておかなくては。
そして、最後にデスクを片付け退社する時。何かした方が良いのだろうか。
午前勤務なので、皆は昼休憩に出る時間帯。
お世話になった小川さんには個別に最後の挨拶をするにしても、他の人にはどうしようか。
リーダーや、隣にいる中山さん・・
そして、菓子折り。
このフロアにいる関わったことの無い人達にも渡すべきか?
休憩室に「お世話になりました」のメモと一緒に置くにしても、人数分とすれば箱一つでは足りそうもない。
これまで退職した人達はどうだったのだろう。お手本が無いので正解が分からない。
ネットでの退職マナーでは、個別渡しとするものが多く、だがパートの身分でそこまでする?と躊躇する。
関わった人に限定すれば、小川さんは勿論のこと、リーダーや新人君かなと思う。やりたくないけれど中山さんにもしないと角が立つだろう。
彼は甘いものが嫌いだったはずだし、ハンカチとかの方がいいだろうか。
この4人に渡すタイミングも難しい。誰かしらデスクにいるし、貰えない人からしたら嫌な気分にさせるかも。
フロア全体に菓子折り、個別にハンカチを特にお世話になった方へーとするのが良さそうだ。


 最終日のことを考えると、憂鬱だし緊張もするし面倒だ。
退職代行じゃないけれど、何事もなかったかのようにさらっと退職出来たら楽なのに。
そして、私がこんなことで悩もうが、周りからしたらどうでも良いことなのは重々承知。
突然来なくなったとしても、その一瞬はざわつかれるかもしれないけれど、すぐに忘れ去られるだろう。

 菓子折りは個包装になっている小さな日持ちするものを用意して、最後の挨拶はその時。目に入った人にだけすればいい。
何度も何度もシミュレーションをするけれど、これで良いのかと悩むばかり。



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