役員関係、断る勇気

NO 生活
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 役員オファーの件。
散々悩んだ挙句、断ることにした。
これまで、こういう事態に遭遇すると、押しに負けて引き受けて後悔するパターンが多かったけれど。
今は、仕事を見付けることが先決。
それに、自治会や近所が私の人生を助けてくれる訳でもない。
物事は、時に割り切ることも必要。

ラインでのお断り

 私の悪い癖。
他人軸で動いてしまうところ。
今回も、針金さんからの依頼ということもあり、断ったら彼女がどんな反応をするのかが怖く、その場であやふやな対応をしてしまった。
それがかえって、相手に無駄な時間を使わせることになってしまうのだけれど。

 隣近所なのだし、面と向かって断るのが誠意なのかもしれない。
それでも、勇気が出なかった。
何度も何度も文面を書き直したメッセージ。

ー主人とも話した結果、今年はどうしても役員を引き受けることが出来ません。
親の介護問題や私自身も持病を抱えており、どうしても時間の捻出が出来そうもありません。
中途半端に受けて出来なくなってしまうのは、かえって皆さまにご迷惑をお掛けすると思うので、今回は申し訳ありませんが辞退させて下さい。

えいや!と送信ボタンを押した。
ラインはなかなか既読にならなかった。

 翌朝、起きてすぐにラインのチェック。
既読になっている。
ほっとしたのも束の間、返信が無いことに心がざわつく。

既読スルーに縛られる

 既読になり、そのまま何事もなく時間が過ぎて行く。
その日は、買い物に出なくてはならない用事もあったのだけれど、延期した。
なぜなら、針金さんにばったり鉢合わせすることが怖かったから。
既読スルーに、怒っているのではないか、呆れているのではないかーとネガティブな気持ちに支配され、こうして「逃げた」自分にも罪悪感。

 数日経っても、既読のまま返信が無い。
いよいよ買い物に出ないとならなくなり、音を立てないようドアを開けてエレベーターに乗り込む。
エレベーターが1階に着く時も、また自転車置き場に行く時も、彼女らしい人影があればビクビクおどおどし、サングラスと帽子でもかぶって変装してくれば良かったーとさえ思う始末。
スーパーでも、一目散に買うものだけを買い物かごに放り込むとすぐにレジへ。
うろうろショッピングを楽しむ余裕などまったくなかった。


鉢合わせ

 会いたくないーと思うと、会ってしまうのが私という人間。
買い物帰り、エレベーターに乗り、降りて自分の家の玄関ドアが見えた瞬間、ほっとしたーと同時に、

ーガチャリ

ドアの開く音。
真っ赤なブルゾンに身を包んだ針金さん。
心臓がドクンと音を立てたのが聞こえたのでは?と思うくらいに驚き、その一方で彼女は赤色も似合うんだなーともう一人の自分が別の場所から見ているようなふわふわしたような感じになり、あぁ、これが現実逃避なのだなと思う。
針金さんと私は、バシっと目が合った。

ーあぁ、無視されるかも・・

「ごめんね~。無理言っちゃって。大丈夫、他の人に決まったから。ご主人にもよろしく伝えておいて下さい。」

 曇りのない笑顔。
私、夢を見ている?という気分。
すぐに現実に戻り、ひたすら謝る。

「本当に、お役に立てなくて御免なさい!物凄く悩んだんだけど。やっぱり途中で無理ってなると迷惑だなって。」


「ううん、全然。こちらこそ突然御免なさいね。順番的に今年って訳でもないのに長く住んでいるからって。最近、外国の方も増えてて。そうなると、言葉の問題とかもあるからなかなか頼み辛くって。つい馴染みの人に声を掛けてしまって。」

 針金さんは顔が広く、私の他にも平行して何人かオファーしていたようだった。
白羽の矢は何本もー。
そう、私の勝手な思い込み。妙な責任感というか勝手な自意識で、まるで自分だけが頼りにされているのだと思い込み一人ジタバタ悩みこけていたのだ。


他人がどう思うかではなく自分がどう思うか

 他人軸ーではなく自分軸。
私はつい物事を他人軸で見てしまうところがある。
相手がどう思うか、思われるかー。
自分の気持ちは二の次。
しかし、もうアラフィフ寄りのアラフォー。
もっと自分に正直に生きて良いのではないか。
これまでこうした役員事は、「子どもの為」に頑張って来た。
不器用で、人付き合いが苦手ながらも、恥ずかしい自分をさらけ出して自分なりに努力して来たのだ。

 これからはもっと自分を甘やかす。
必要以上にお人良しにならなくてもいいじゃないか。

「身体、お大事にね。」

 針金さんは、労わるような視線を私に向けると、もう一度にっこりと笑みを浮かべてその場を去った。
きっと、私が心の病か何かだと思っているに違いない。
それでもいい。どう思われようが、恰好付ける必要もないし、相手の勝手な想像に心かき乱されるのも時間の無駄。

自分の器の大きさを知る

 断るのは、勇気が要る。
自分が悪い人間なのではないかー相手に嫌な思いをさせたのではないかーなど、悶々とした思いに支配される。
ただ、人様に迷惑を掛けるだとか、どうしても自分がやらなければならない使命だったり責任がある場合を除いては、NOと言う勇気は自分を守る。

 人生は一度きり。
断ることはネガティブではない。
自分にとってはポジティブに働くこともある。
少しでも挑戦してみたい気持ちがあれば、その時は引き受ければいい。
心が弱っている時、優先するのはまずは自分、そして家族ー。

 私の器は小さい。
それを恥じだと思ってきたから、溢れる程に水を入れては無駄に溢し失敗して来た。
これからは、少しずつ。
一度に入れられる量は少なくても、着実に出来ることを。駄目な自分を受け入れる。

まずは、今週末にある草取りをしっかり頑張ろうと思っている。



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