給料泥棒

ろうそく 仕事
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 事務パートに出たら、花山さんと黒川さんがするはずだった仕事がてんこ盛り。
あれもこれもの雑務は勿論、難易度の高いExcel処理や資料作成、次々と木佐貫さんから指示を受けるがパニックになってしまった。

「すみません、全部は出来そうもありません・・」

「いやいや、全部とは言ってないです。やれるところまででいいので。」

 そう言われて実際その通りにして、だが彼女が思う「やれるところ」は私の「やれたところ」と不一致なのはやる前から分かる。
なので、絶対にここまでは仕上げて欲しいという線引きを求めた。
木佐貫さんは面倒臭そうに、だが、私が頑張ってやれば出来るだろうきわどいところまで指示を出した。
午前中、トイレにも行けない程に集中してこなす。
一つ一つは単純作業でも、数が多いので効率良く動かなくてはならない雑務。
ようやく昼休憩になり、トイレへ行き鏡の前の自分の顔といったら。疲労感いっぱいでやつれていた。

 昼もそこそこ、パートなのにおにぎりを食べながら仕事をする。
米田さんら社員も忙しそうで、自席で食事を取っていた。
パート2人が休んだことでしわ寄せが来てるのだろう。
午後の業務は頭を使う。
やったことのないExcel作業は、IT企業でパートをしていた時に何となく使った関数を駆使しなくてはならない。
ネットで検索しながら試行錯誤するが、セルに出るべき数字が出て来ない。
しまいには、「#VALUE!」やら「#DIV/0!」が出てしまった。
もうお手上げと、木佐貫さんに質問しようとするが、なかなかタイミングがつかめない。
それで結局ぐずぐずと時間だけが過ぎ、さすがにもう話し掛けないと定時までに作業が終わらないと焦り質問した。


「あー、じゃあそれはいいです。こっちやって下さい。出来るところまででいいんで。」


 あっさり引き取られてしまった。
こんなことならもっと早く話し掛ければ良かった。タイムロス。こういう判断も仕事が出来る出来ないの分かれ道なのだと思う。
パートタイマ―、時給で働く身。
2時間程、給料泥棒をした気分だった。




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