具合が悪くなりながらもなんとか職場へ行くと、私のデスク上には新品のPCがセットされていた。
木佐貫さんがセットアップしてくれたのだ。
過剰なくらいにお礼を言うと、
「私も説明書見ながらだったので、結構時間掛かっちゃいました。午前中これやってたら作業進まないですよね。」
まず、共感してくれたことに救われた。
こんなことも出来ないのかーと呆れられていると思っていたので、正社員で仕事も出来る彼女からそう言われて幾分ほっとした。
この日、パートは私だけ。花山さんも黒川さんも休み。
なので、難しい仕事が振られることも覚悟していたのだけれど、米田さんからは大量の資料をスキャンしてPDF化する作業。木佐貫さんからは、いくつかの取引先への郵送物手配くらい。
宛名シールに住所を印字し、レターパックに添付。郵送物とともに送付状を入れたりの手間は発生するものの、彼女達からしたら雑用だがまあまあ時間を取られる仕事なので、パートの私達が担当のようになっている。
時間が余ればーと、黒川さんがやり掛けだという作業も頼まれた。
これも慣れれば簡単な登録業務で、社内的な仕事なので最悪ミスをしたとしても先日のように大騒ぎになることもない。
黙々と作業をしていたら、あっという間に3時間。
やらなければならないことが、すっきり終わった。
黒川さんのやり掛け作業も無事に終え、木佐貫さんに持って行くと笑顔で、
「ありがとうございます。あ、もう時間ですね、お疲れさまでした~」
労いの言葉に、すっかり気持ちがポジティブになったのだ。
こんな毎日なら、週5でもいいくらい。
なんて、今朝まであんなに辞めたくて憂鬱で仕方が無かったのに。
自分の浮き沈みに振り回されどっと疲れたけれど、心地の良い疲れ。
このまま午後はポスティングもしてしまおうかなーと、心も体も軽くなった私はつい調子に乗るのだ。
救世主
