備蓄米を狙っていた。まずはネットで。
だが、夫にカード払いを了承してもらおうと画面を見せたら、
「安かろう悪かろうだろ。テレビでも、みんなマズそうに食ってるし。」
なかなか首を縦に振ってくれない。
迷っているうちに、あっという間に売り切れた。
夫がすぐにOKしてくれたら、買えてたかもしれないのに。
朝いち、備蓄米が販売されるスーパーへ駆け込んだ。
本当なら、夫も別の備蓄米を販売する店に参戦して欲しかったのに。
「休みの日にやってられんよ、あなた買いたいならどうぞご勝手に。」
非協力的。
そして、やはり食べたこともない癖に文句。
「どうせ食えたもんじゃないよ。タイ米だってそうだっただろう。ぼそぼそしてて、結局チャーハンとかでだましだましってヤツだよ。」
だが、実際には私が完売の札の前で肩を落としている最中、ラインが。
ー買えた?
気になっているようだった。
2000円代の米は、今の我が家の財布事情からしたら喉から手が出るくらい欲しい。
パンや麺類ばかりの食卓に飽き飽きしていたのはきっと夫だって同じはず。
それでも、お坊ちゃまのプライドが許さないのだろう。
義姉らはきっと、備蓄米なんてスルーだろうから。
ー売り切れだった。
すぐに既読になったが、返信は無かった。
やれやれと、安い78円の食パンを2袋と15円のそばとうどんを三袋ずつ購入。
私は備蓄米を食べてみたい。タイ米と比べるなんてナンセンス。いったいいつの時代の話をしているのか。
夫は、妙なところで融通が利かない男だ。
がっくり肩を落として自宅に戻ると、子が残念そうに言う。
「え。備蓄米無かったの?食べてみたかった!」
案外、若者の方が郷に入っては郷に従え的だったりする。
ネットやテレビで散々備蓄米の話題を目にし、トレンドにも入っているそのワードに乗り遅れまいと必死だ。
いったん食べてみて、不味いか旨いかーそれは、口にした人間しか判断することは出来ない。
そんな中、ユーチューブ動画で食べ比べをしている人が。
金に困って無さそうな、時間だけはたっぷりあるユーチューバー。
ただ興味本位であげている動画に軽くイラっとする。
本当に生活に困っている人、仕事や住まいの関係で買いに行けない人、そういう人々に行き渡るようにして欲しい。
完売・・
