本命だったはずの面接。
実際の面接場所は、現場。
某カルチャーセンターで行われた。
平日の日中だからか、センターがあるビル内は空いており、人もまばら。
エレベーターに乗り込み、センターがある階に到着すると、すぐ目の前にカウンターが現れた。
受付に女性が一人おり、その後方にも数人の女性。恐らく、私と同世代。
「すみません。本日、面接に参りました芝生と申します。」
受付女性のそれまで張り付いていた笑顔が消え、事務的な無表情に変わるとすぐさま立ち上がり、奥に消えた。
少しして、男性職員が出て来て、
「では、こちらへ。」
誘導されるまま、受付を通り過ぎ、いくつもあるドアのうちの一つに通される。
他のドアの向こうは、恐らく教室なのか、どっと笑い声が聞こえた。人気講師の授業なのだろうか。
部屋に入り、男性と一対一での面接が始まった。
私の提出した履歴書を見ながら、志望動機やこれまでの職歴などを聞かれる。
先日の面接での内容とかぶる部分もあり、案外、スラスラと言葉が出る。
だが、ふと途中で雑念が邪魔をした。
カウンター内の女性達。受付女性を始め、後方にいた数人は皆、なんだか怖かった。
楽しそうに話しながら業務をしているようだったけれど、顔つきが意地悪そうというか、なんだか私と合わない気がする。なんて言うか、スネ夫ママの雰囲気漂う人達だった。
面接官が色々と業務の説明をする間も、その邪念が頭の中を支配し、彼女達からハブられる自分の未来がリアルに浮かぶ。
駄目だーこれは。
「何か、質問はありますか?」
「同じ業務をする方は、何人くらいいらっしゃいますか?」
咄嗟に出た質問。
なんでこんな質問をしたのか、今となっては的があまりにも外れていることに気付く。
「日中は4人、主婦さんのパートですね。夜間や土日は学生アルバイトの4人で8人体制です。今回、そのうちの一人が退職することになったので、その欠員補充です。」
「土日も出勤することありますか?」
「そうですね、基本、社会人対象のセンターなのでね。土日の方が生徒数も多いんですよね。固定ではないですが、シフトに穴が空いてしまった時などは出勤して貰うこともありますかね。」
割と、フランクな感じに終わった面接。
面接官の男性のヤニと煙草が混じった口臭が、部屋を出た後も私にまとわりついている気がして気持ち悪かった。
帰り際、カウンターの中の人達にもお辞儀をしたら、一応、返してくれたけれど。
やっぱりなんだか違和感。まるで、憂さ晴らしの対象をいまかいまかと待っているような表情の女達に、ここでは働きたくないと生理的な嫌悪感を抱く。
入ってみなければ分からないーとも言うけれど、こうして実際、働いている人達が目に入れば入るのデメリットもある。