業務日誌のプレッシャー

ホチキス 仕事
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 事務総括といえば大袈裟だが、女性面接官だった米田さんが怖い。
何が怖いかといえば、すべてにおいてストイックで隙が無いところ。
きっと、恐ろしく仕事が出来る人なのだろう。
それに、とても細かい。
今日は、ホチキスの留め方について指摘された。


「これ、留めたの誰?」


「私です・・」


「真っ直ぐじゃなくて、斜め45度に留めて下さい。」


 45度に留めなくてはならない理由を聞きたいけれど、まさか本当に聞けるはずがない。
ただ、すみませんでした!と彼女のやり方を受け入れるしかないのだ。
また、この会社仕様のソフトがあるのだけれど、その使い方がなかなか覚えられない。
気付けば、画面迷子。この間教えて貰った画面に行きつくのにはどこをどう操作したら良いのかーノートを見ても思い出せない。


「この間、説明しましたよね。」


 この決まり文句に、いったいどれだけの新人が泣かされることか。
次に疑問が湧いた時、質問をするハードルが一気に上がる。
もし私が新人に指導する立場だったら、何度でも聞いて下さいと絶対的安心感を与えるのに。
人にはそれぞれの能力があって、飲み込みが早い人もいればそうでない人もいる。
一律ではないのだ。
委縮させたところで、逆に仕事のコスパは下がる。なぜそれに気付かないのだろう。

そして、一番負担が重いのは、米田さんが雛形を作成した日報。
これに、その日の業務を15分単位で入力すること。
前職のIT企業でも日報はあったけれど、あれとはまた違った圧がある。
米田さんが私達に振った仕事ー、その業務に対する彼女が考える設定時間が予め入力されているのだ。
なので、一目見ただけで、その設定時間からどれだけオーバーしているのか一目瞭然。
それがとてつもなく負担だ。

今日は、彼女から振られた仕事に、PDFを印刷して社判を押印ー、各取引先に発送するという業務があった。
これに、彼女は30分と設定していたのに、なんと私は1時間以上掛かってしまった。
言い訳をするならば、なぜか私のPCから印刷がうまくいかなかったのだ。なんどやっても反応しない。
なぜか、Excelなどは印刷出来てPDFだけ出来ない。
ネットでそういった現象の対処方法を調べたり、あれこれしているうちに時間だけが過ぎ、隣の同期ー花山さんに泣きついて、彼女のPCを借りることで事なきを得た。
そして、社判を押印して真っ黒なのに驚く。赤いスタンプ台ではなく黒いスタンプ台でインクを付けていた。これでまた時間のロス。再びPDFの印刷をし直し、更に取引先の住所録から宛名シールに印刷という目が回る作業。
隣にいた花山さんが、見るに見かねてシールの印刷はしてくれた。なんて優しい人なのか。

また、とある書類のチェックをするように言われ、合計だけをチェックして返したのだけれど、それだけでは駄目だったようで、

「個々もちゃんとチェックして下さい。合計だけじゃなくて。ほらここもですよ、お願いします。」


 私があれこれダメ出しを受けているのに、花山さんは涼しい顔で業務をこなしている。
時々、前方に座るもう一人の事務社員と談笑まで。余裕が無い私は、仕事中に雑談なんて皆無。それなのにミスは多いし時間も掛かる。
やはり、オフィスワークをしたいだなんて、高望みだったのかなと落ち込んでしまう。
まだ週のはじめなのに、どっと疲れ果ててしまった。





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