夫の不満

缶ビール
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 子が元気に登校したかと思えば、今度は夫の情緒が不安定。
昨夜、帰宅早々冷蔵庫からビールを取り出す。
グラスにも注がず、缶のまま。
あっという間にロング缶3本飲み干し、次いで焼酎ロック。
こういう飲み方をする時の夫は、精神的にあまりよろしくない。

犬塚さんと揉めたらしく、あんな奴とは一緒にはやっていけないと言う。
夫サイドの話なのでどこまでが本当なのか分からないけれど、彼の仕事のやり方がおかしいし席だけ置いて余計なことをしてくれなくてもいいのにと言い出した。
資格保持者がいなければ成り立たない事業なので、彼を辞めさせるのは現実的ではない。
一番は、夫がいち早く資格試験に合格すれば良いのだが。
今年も落ちたらそれこそ身もふたもない。
夫の言葉を借りるのならば、「奴に足元を見られてる」というものだ。

「人格的にあいつはおかしい、騙された。調子に乗ってる。」

 仕事というよりも、相性が合わないのか。
何度か会った彼は、紳士的な白髪の常識的に見える男性だったのだけれど。
私の手作り弁当も、美味しいと褒めてくれていた。

 いつ夫がブチ切れて犬塚さんと決別し、仕事を放棄するかもしれないと思うと不安が募る。
話を聞いていると、仕事のやり方で意見の相違が生まれた時、犬塚さんが聞く耳を持たず自分のやり方に固執し、更に夫の意見にダメ出しばかりのようだ。
私は仕事のことがてんで分からないから、どちらが正しいのか果たして分からない。
聞く耳を持たないのは夫もそうなのでは?とも思う。
夫婦間のように、夫は妻を下に見る。私の意見なんて殆ど通らないし聞く耳すら持たない。
そしてそれが当たり前で、常に自分が正しいと信じて疑わない。
社員だった時は、大勢の人がいて、分かりやすい上下関係があったから何とかうまくやっていたのだろうけれど、共同経営者として対等に仕事をしていくにあたり、そのバランスが危うくなっている現状をひしひしと感じる。


「普通じゃない、あいつはおかしい。」

 だが、妻である私から見て、夫という人間を疑問に感じる部分は多々ある事実。
一緒に暮らしていてもそうなのだから、他人はどう感じるか。
これまで組織に属していた時には気付かれなかった部分、気付かれていたとしても、対一ではなかった為、その違和感は薄まっていたのかもしれない。

犬塚さんに対し、引き抜き疑惑の件からずっと不信感を抱いている夫。
そんな負の感情が、仕事をする際も影響しているのだろう。
ふと、吉田さんに状況を聞いてみたらどうかと思い始めた。
彼女と個人的に連絡を取るのは敷居が高いが、背に腹は代えられない。



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