事務パートでやってしまった。
大きいミス。
PC設定で頭が一杯だった昨日。
頼まれていた、私担当になりつつある単純作業的なもの。だが間違えるとややこしい案件。
そのミスに気付いたのが花山さん。
「芝生さん、この間処理したこれ、OOが抜けてない?」
オタオタしているところで花山さんがすぐに上司に報告。
私は頭が真っ白、どうしようどうしようとパニックになる一方、もう一人の自分が天井から慌てる私を見降ろしている感じ。
まさに、現実逃避を始めていた。
「え?嘘でしょう!?」
米田さんに伝わり、その声がフロア中に響く。
皆の視線を一斉に浴び、とにかく頭を下げ、でも何をどうしたら良いか。
「じゃあ、これとこれ、取り敢えず出来るところまでやって下さい!」
PCの設定がまだ出来ていないことを伝えた時の米田さんの顔を見ることが出来なかった。
隣の花山さんも、さすがに私の凡ミスに呆れたのだろう。いつもは同期としての優しいフォロー的な言葉を表向きでもかけてくれるのに、昨日は無かった。
設定出来ていない、段ボールに入れっぱなしのPC。
あれもこれも出来ない、今、どちらを優先すべきか。PCの設定が先か、処理速度が遅すぎる旧PCを使い処理をすべきか。
その判断すら出来ず、気付けば涙が滲んで止まらなくなる。
職場で泣くなんて、有り得ない。そしてそんな自分が情けなくて更に涙が止まらない。
ハンドタオルで目頭を押さえていたら、花山さんから言われてしまった。
「時給は発生してるよ。」
意識が違う。
普段はへらへらしている彼女が、隣で泣いている私が目障りなのかキツイ言葉を掛けて来た。
仕方なく、旧PCの電源を入れ、出来るところまでやったけれど。
それでも上司は取引先に謝罪をし、米田さんや木佐貫さんにも自分の仕事を置いて手伝って貰い、多大な迷惑を掛けた。
パートはお気楽。責任がない。時間の切り売り。
だが一方で、その時給分は、しっかり働かなければならない。
社会人としての常識なのに、一番なりたくない社会不適合な甘えたおばさんになってしまった。
社会不適合者
