自治会の大掃除は朝から。
前日が雨だったこともあり、掃除をするのに泥だらけ。気に入りのシャツが汚れてしまった。
針金さんは、いつものように自治会本部メンバーと楽しそうに和気藹々と掃除をしており、それ以外の新参者とも思える所見の若夫婦や、私より少し年齢層の低いママさん連中も、いつの間に出来た小さなコミュニティに属し、内輪話で盛り上がっている。
この地に越して10年以上。
なのに、こういったコミュニティに属すこともないまま今に至る。
勿論、私と同様、人付き合いが不得手で掃除にすら出て来ない人もいるのだろうが、住民としての義務ー、それをスルーするだけの勇気がない私。嫌々ながらもこうして参加してしまうのだった。
黙々と手を動かしながらも周囲を見渡す。
そういえばー、こういう場にいつの間にか男性が増えたことに気付く。
この10年、コロナ禍を経てリモートワークになったことで、子どもを通してのご近所付き合いも父親が主になる家庭もあるのだなと知る。
パパという男性が混じることにより、ママ友付き合いという女性特有の何とも言えない閉塞感が少しは薄らいだように傍から見て思えた。
「お疲れさまでしたー!」
役員が、ペットボトルの入ったダンボールを抱えてやって来た。
一人一本ずつ、今日の労働の対価だ。
お茶を飲みながら、エントランスで輪になるご近所達。
もし、突然ここで大地震が起きたら一致団結するだろうコミュニティ。
普段、付き合いの無い我が家には分が悪いけれど、こうして義務でも参加することで顔を覚えて貰うことが大事。
有事の時、助け合えればいい。
そんな気持ちで、任意の大掃除であっても参加するよう心掛けている。
ご近所付き合い
