「ピアノ、辞める。」
受験もあるし、そろそろと思っていたピアノ。
だが、ずるずると続きながらもすっかり子にどうするか聞くことを忘れており、こうして子から切り出され思い出した。
夏に発表会があるので、それが済んでからかなと勝手に思っていたのだ。
それに、発表会の参加費はもう支払い済みだ。
「え?発表会はどうするの?」
「練習する時間もないし、それまでに仕上げられそうもないし、もういいや。」
「参加費払っちゃったわよ、もっと早く言ってよ・・」
「ごめん、あの時は出来ると思ってたから・・」
いったんお休みをし、再開したピアノ教室。
意識高めの先生で、若干苦手。
さて、どのタイミングで伝えるべきか。
メールで辞める旨を下書きにし、送信する前になんとなくネット検索。
すると、ピアノなど個人の教室に通っていた場合、辞める意思は対面で伝えるのが常識とある。
メールなんてもってのほか、対面出来ない余程の理由(既になんらかの理由で引っ越してしまった場合や入院など)ですら電話で辞意を伝えなければならないらしい。
習い事といっても、芸事というのは敷居が高い。
なんだかよく分からない、暗黙のルールがあったり、先生も癖がある。
そして、遅くとも最後のレッスン一か月前には伝えることとある。
色々と制約があり、面倒だなというのが正直な気持ち。
きちんと月謝を払っていても、こちらの方が下手に出なくてはならないこの空気感はやっぱり苦手だ。
対面でいきなりーというのは失礼だろうか。
メールで一言、お話がありますと伝えてから伺うのがベスト?
そもそも、子も高校生だし自分の口から伝えた方がいいのでは?
子にそれとなく言えば、
「えー嫌だよ。気まずい。ママから言って。」
気まずいのは私も一緒。
ちょっとそれはどうなのか?習っていたのは自分なのにそういうことを丸投げしようとする子が情けない。
「何言ってるの。私からも伝えるけど、自分の口からも伝えなさい。今度のレッスンで。」
「えー、発表会のこととか色々言われそうだし嫌だよ。なんなら来週からお休みしたい。そのままフェードアウトとかって無理かな?」
「駄目に決まってるでしょ!」
親子揃って、こういうところが情けない。
退職もそうだけれど、どんなことでも辞めると伝えるのは気が重い。