ひとりぼっちのママ達へ

親子の手 生活
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 朝、ゴミ出しに行くとエントランスには幼稚園バスを待つ親子達の群れ。
私よりも一回りは年下かなと思える、若い母親達が輪になってぺちゃくちゃお喋りをする横で、子ども達がわいわい駆けずり回っていた。
その一人が突如、わき目もふらず私の方に突進してぶつかった。
私の方がフラフラとよろけてしまい、ゴミ袋を落としてしまった。

「大丈夫!?ごめんね!」

 咄嗟に謝るが、男の子は、しまった!といった顔を少しした後、逃げるように走り去った。
落としたゴミ袋からこぼれたペットポトルを、女性が拾って渡してくれた。


「すみません、ありがとうございます。」


「いえ・・」


 長い前髪で顔がよく見えなかったが、なんていうか、私と空気が似ている、そんな女性だった。
ゴミ捨てをし、大笑いをしているママ軍団の前を通り、ふっと視線をずらすと先程の女性が女の子と手を繋いでなんだか居心地悪そうにしているのが目に入る。
女の子は、先程ぶつかった男の子と同じ制服を着ており、なのでここでバス待ちをしている園児の一人なのだなと分かる。
親子でなんだかポツンとしている姿が、過去の自分と重なった。
胸の奥がギュッとした。
引っ越して来て、馴染めないのだろうか?そもそも最初からそういう人間関係が苦手なのか?分からないけれど、心の中で彼女に話し掛ける。

ー今だけ。その狭い息苦しい水槽の中にいなくちゃならないのは、人生の尺でみたら僅かなもの。今は辛いかもしれないけど、同じような仲間は過去にも現在にも未来にもいるからあなただけじゃない。終わりは必ず来るから。大丈夫。ー


 あの頃の私は本当に孤独で、でもだからこうして自分の気持ちを吐き出す場を作った。
そのお陰で、同じような人がたくさんいることを知った。
そのことは私を勇気付けたし、必ず終わりが来ることも、見ず知らずの先輩ママ達から教わった。
そしてそれは真実だったし、それ以上に別の悩みを抱えたりして、今がある。
悩みは形を変えて、きっとなくなることはない。一つ消えれば一つ増え、そういうもの。
いつしか耐性が出来て、それが強さになる。
だから、無駄じゃない。孤独なこと、辛いこと、泣きたくなること、悔しいこと、そういった負の感情は長い目でみたらくるっと裏返ってプラスに働く時が来る。

大丈夫、大丈夫。
ひとりぼっちじゃない、あなたの温かい手を握りしめる小さな手、それがある限りあなたは大丈夫。





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